2016年3月11日で東日本大震災から5年が経過します。震災や津波で甚大な被害を被った宮城県は、震災後の学校基本調査で不登校率が全国平均を大きく上回り、その後も増加傾向にありました。震災から5年が経過した今、子ども達の状況はどのようになっているのでしょうか?(これまでの記事一覧

昨年に公表されたあるデータが、石巻市で大きな話題となっています。それは、石巻市における「不登校出現率」が小・中学校ともに、震災後初めて宮城県全体の平均を下回ったということです。文部科学省「学校基本調査」による2010年~2014年の石巻市における不登校出現率を小学校・中学校のそれぞれでグラフ化しました。宮城県、全国の平均と対比させています。

2年連続で全国ワーストを記録した宮城県の中学生の不登校出現率。石巻市はこの平均を震災以前から大きく上回ってきましたが、2014年度についに下回ることになりました。小学生の不登校出現率は、震災直後の2011年度の急激な上昇の後、少しずつ下落を続けています。同じく、2014年度に宮城県の平均を下回ることになりました。

宮城県教育委員会が2013年9月に実施をした「平成24年度における不登校児童生徒の追跡調査(仙台市を除く)」によれば、不登校児童(小学生)の約11%・不登校生徒(中学生)の約6.7%が震災の影響による不登校とみられるというデータがあります。その意味で、今回の被災地である石巻市で不登校出現率が大幅に減少しているということは、大きな成果だと言えるかもしれませんが、一体、石巻市で何が起きているのでしょうか。
 
「学校にも行けず、家からも出られない子どもたち」が顕在化

震災以前に「けやき教室」(宮城県における「適応指導教室」の愛称)が1カ所あるのみだった石巻市における不登校支援の拠点。2016年3月現在で、民間フリースクールも含めて、4カ所に拠点数が広がっています。学校外施設の不登校児童・生徒の利用にあたっては、文科省通知により、最終的には学校長判断によって「指導要録上の出席扱い」にすることが出来るとしており、例えば私たちのフリースペース「ほっとスペース石巻」に登校すると、この出席扱いになっています。
 

(フリースペース「ほっとスペース石巻」の様子)

したがって、この「指導要録上の出席扱い」がケースとして増えたことによって、「学校に登校していない児童・生徒数」は変わっていないが、「不登校児童・生徒数」は減少しているというのが、根拠の1つとしてはあるかもしれません。

また、沿岸部の特に被災の大きかった地区の小学校では、「スクールバス登校」や「学区外通学」を続ける児童が多いにも関わらず、学校長のリーダーシップの下、学校全体で「不登校を生まない取り組み」を行い、結果として不登校児童が1人もいないという学校もあります。数字が減少している背景には、このようなことも、根拠の1つとしてあるのかもしれません。

震災があったからこその取り組みの成果だと、前者・後者ともに言えるかもしれません。一方で、裏返せば「学校にも、フリースクールにも、通うことができない児童・生徒」が、石巻市には多数いるという事実が顕在化されたとも言えるかもしれません。

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