高校中退は、社会経験の量や手本となる先輩の存在が少ないことからその後の人生のハンデとなることがあります。(山口真史さんのこれまでの記事一覧)現在、私は、自分自身の高校中退の経験から不登校や高校中退など学校教育をドロップアウトした人たちの支援を行っています。前回の記事(まず「高校中退を乗り越えた」という根拠・武器を手に入れよう!)では、「学歴」と「高卒認定」の話をしました。今回の記事では、「資格」、「印象(もしくは行動)」について述べたいと思います。

資格は、自分が「取り組んできた」ものをアピールする材料

高卒認定をはじめ、受験資格に学歴を必要としない資格もたくさんあります。TOB塾(筆者が運営する高校中退した人のための個別学習塾)でも資格の賞金制度を設けていて、英検や漢検のほかに、秘書検定や世界遺産検定の取得をはじめ、旅行業務取扱管理者の受験や猟銃免許の取得を目指している塾生もいます。資格は、自分が「取り組んできた」ものをアピールする材料です。そういう意味では「学歴」を積むよりもストレートにそれを表現できると言えます。

しかし、資格もたくさん種類があって何から手を出していいのやら、という方もいらっしゃるかと思います。例えば、IT系は学歴ではなくスキルが問われる業界なので、資格は有利に働きます。IT系に進みたいけど、何から手を付けていいのかわからないという人は、「ITパスポート」から始めてみてはどうでしょう。これで全体感をつかんで、進む方向をきめていきましょう。また、事務として働くことを目指すのであれば、WordやExcelなどを使えることを示す資格、MOS(マイクロソフト・オフィス・スペシャリスト)や、業務内容によっては秘書検定や簿記なども役に立つかと思います。ホームヘルパーなども就職につながりやすい資格として有名です。このあたりは、自分の進む道にとって必要な資格を勉強して取りに行くことをおすすめします。

他にも、行政書士、気象予報士、公認会計士、宅建(宅地建物取引主任者)など聞いたことがあるような資格も受験可能です。また、ヘルパー → 看護師・介護福祉士や、児童養護施設での実務経験 → 保育士 → 幼稚園教諭などへの道もないことはないです。いずれにしても、知名度が高く、人気の高い資格を取得するには、手順や内容のハードルがかなり高いですが、まったく閉ざされた道ではありません。高いハードルに挑むためには相当な「精神力」と「行動力」が必要となってきます。公認会計士などは極端な例だとしても、一人で資格取得を進めるにはかなりのものが必要となります。

上手くいかなくても諦めない「精神力」と何度でも挑戦する「行動力」

この「精神力」と「行動力」こそが、「普通と変わらない(問題ない)と示す」ための大きな要件となります。「学歴」や「資格」はあくまで、「高校中退というネガティブなイメージを取り除いてくれる道具」に過ぎません。一方、「精神力」や「行動力」はその人そのものを表します。極論、「学歴」や「資格」がなくても、上手くいかなくても諦めない精神力と何度でも挑戦できる行動力があれば、道は開けます。

学歴や資格がない中で就職を探すとしましょう。いずれの職を求めて動き出したとしても、就職活動は運やタイミングも大きく左右されるのであっさり決まらないこともよくあります。学歴のある大学生の就職活動でも同じです。そこで大事になってくるのが、上手くいかない時に、どうするかということです。

失敗の原因を考え、その対処をし、もう一度挑んでいく。「自分がダメだから」「やっぱり高校中退だから」など、変えられないものに対して原因を求めても先には進めません。変えられる原因を探し、何回もチャレンジする。これを繰り返すことができれば、運も呼びこまれて、いずれタイミングが合う時がやってきます。(それができる基地・場所があるかないかということがこれまた大きな問題なのですが。)

前回の記事では、「高校中退している人でもダメな人はダメで、学歴積み重ねている人でもダメな人はダメ。」という話を書きましたが、ダメか良いかを分ける要素がこの「次の一歩をどう動くか」なのです。誰もが知っている大学を卒業して誰もが知っている会社に就職しても、1回の挫折で(大人になってからの初めての挫折だからこそ)先に進めなくなった人の話は頻繁に聞きます。
 

しんどさを糧にするには視点を変えてもらう必要があり

では、その「精神力」や「行動力」はどうやって身につければいいのでしょうか?技能などと違い、人間の根本を鍛えるためにはある種のハードルが必要だと考えています。それは、基本的に筋肉痛や成長痛などと同じように、痛みや苦しみを伴うもの、というイメージです。そういう意味で「どうしよう」「しんどいなぁ」というサインは重要です。

あとはそれをどう捉えるか?人間の認識は思っている以上の力をもっています。辛いことを辛いとしか思えばそれ以上は進めなくなるし、しんどい中に希望が見えれば前に進めるものです。同様に、こういったサインを成長の機会だと思いこむことが大切です。

高校中退者は、他の人が経験しない大きく特殊な「しんどさ」を早くに経験します。そして、モデルになる先輩も少なく、その状況をどうするべきかを一人で抱え込むことになります。ポジティブなメッセージにはなかなか触れることができません。一人でこの状況をチャンスととらえることはとても難しく、このしんどさを糧にするには視点を変えてもらう必要があります。

まずは、中退だろうが高校に通おうが、「自分が生きるための道を探している」という目的は同じであることを自覚しましょう。要は、どういう道をたどってもそれを見つけさえすればOKだということです。その上で、高校中退という難易度の高い状況にいると思いましょう。自分自身の人生を自分で考えて作っていくことが高校に通うよりも自由で難しく成長の幅が大きいことを自覚しましょう。

高校中退者たちが、「人と違う生き方もあり(もちろん自分と違う生き方の人も認める)」「何度失敗しても良い」「それでも何とかしたい」と思い続けることは本当に大事です。またそう思い続けさせてくれるような環境も必要です。自分のプライドだけをふくらまして強がるばかりではなく、また、高校中退した自分を責めて「もっとしっかりしないと」と追い込むばかりではなく、「高校中退」を受け止め、それすら一つの生き方だと笑える材料にしてしまえることが理想です。

もし、これができれば、高校中退という特殊な苦しみでさえ、受け止めて、笑い合えるように環境を作ることができます。ここまで来れば、あなたの「精神力」はしっかりと育っていることに他ならず、「行動力」にもつながっていきます。この孤独な苦しみは、「ふつうの高校生」には得られない成長の機会に変わっていくことになるでしょう。

「高校中退」それは一見すると絶望の入口のように思えるかもしれませんが、リスクが大きい分、成果も大きいのです。やるべきことをやって(「学歴」や「資格」を身につけ)、自分自身を受けいれ、それまでと同じように振る舞う(「普通であることを示す」、マイナスを笑いのネタに変える)ことによって、それまでとは別の、自分自身の人生が始まります。「高校中退」で悩むあなたが、学歴や資格が積める場所、弱音を吐ける場所、冗談を言い合える場所と出会えることを祈ります。
 
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一般社団法人
new-look 代表理事 山口真史

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