「2020年に大学入試が変わる」という話は、大きく報じられ、教育関係者のみならず多くの方が注目している話題です。では、具体的に大学入試はどのように変わっていくのでしょうか?これまでの教育改革の背景も含めて、NPO法人教育支援協会の代表理事・NPO法人全国検定振興機構の理事長を務められ、長きに渡って日本の教育改革の最前線で取り組まれてきた吉田博彦さんにお伺いしました。

吉田博彦さんは、1999年より全国組織のNPO法人教育支援協会・理事長として民間からの教育改革を提唱し、文部科学省や教育委員会との協力によって、全国で様々な教育事業をおこし、地域教育力の育成を行ってきました。中央教育審議会専門部会委員、文部科学省コミュニティースクールマイスター、文部科学省放課後子どもプラン推進アドバイザーなども務められてきました。。2015年からは、大学入試改革に向けて、民間の検定試験の「質」と「信頼性」を判定するNPO法人全国検定振興機構・理事長に就任されています。
 
2020年「大学入試改革」の現状とは?

現在の大学入試センター試験を廃止し、それに替わる入学者選考のあり方を議論している文部科学省の有識者会議は、2016年3月25日に、改革の方向性の最終案をまとめました。昨年からの新聞報道などで伝えられているように、我が国の大学入試の形が大きく変わろうとしています。

その要点は、まず第一に、入試一発勝負のような現在の形を改善するため、書類や面接で個性や意欲を評価するAO(アドミッションオフィス)入試や推薦入試を一つの大きな柱にすることです。最終的には全大学入学定員の約60%をこの形に仕様というのですが、まだ課題は山積みです。
 

有識者会議はこうしたAO入試や推薦入試のような入学者選考方法を採用する際には、「学力不問と冷やかされる状況が生じている」という批判があることに配慮すべきだとして、かつての「一芸入試」などに対する批判の教訓を生かす必要性に言及しています。そのために、実施要綱で「学力検査を免除」といった記載を禁じ、学校成績や民間の検定試験を活用した一定の学力確認を促すべきだとし、入学者の学力測定を徹底することを求めるとしています。

もう一つの柱である一般入試でも、現在の大学入試センター試験に替わる新テストとして「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」を創設し、このテストには、センター試験のような選択式問題だけではなく、正解がいくつも考えられる問題や記述式問題を採用することとしました。そして、その採点に人工知能(AI)を活用して採点期間を短縮するなど、できる限り「短絡的な正解追求型教育」からの脱却を図ろうとしています。

こうした全体の改革議論と並行して、各教科の教育内容の改革が議論されており、例えば英語教育については、従来の文法訳読中心の教育から、英語の4技能「読む、聞く、書く、話す」をすべて網羅した「話せる英語力」の教育の実現が進められています。そして、その教育成果を測定できる入試への切り替えのため、英検やTEAP、TOEFLなどの民間の検定試験を入試に採用するなど、2020年から施行される新しい学習指導要領を意識した改革となっています。

こうした改革は2020年度入試から適用できるように、2017年度までに新ルールを策定し、前述した大学入学希望者学力評価テストを2020年度までに、高校生の学力定着を測る「高校基礎学力テスト(仮称)」を2021年度までに創設するとしています。

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