日本国内の「子どもの貧困」に関する政策提言や子どもたちへの直接支援を行っている公益財団法人「あすのば」では、2016年8月16日(火)~19日(金) の3泊4日の期間で、群馬県前橋市にある国立赤城青少年交流の家で「あすのば合宿ミーティング2016」を行いました。この合宿に運営スタッフとして携わった花澤昴乃さんより合宿の様子をレポートして頂きました。
 
全国から集まった「子どもの貧困」に関わる若者たち
 
みなさん、はじめまして。私は、公益財団法人「あすのば」で子どもサポーターとして活動している花澤昴乃(はなざわたかの)と申します。2015年9月よりあすのばに関わっており、2016年7月からは、子ども食堂などを運営している「My Own Place 成長に愛を」(mop)という学生団体で子どもの居場所づくりを行っています。
 
私が「子どもの貧困」という問題を初めて認識し、「あすのば」や子どもたちと関わるきっかけとなったのが、昨年初めて参加した「あすのば」主催の合宿ミーティングでした。(昨年の合宿の報告記事:当事者と支援者の想いを紡いでわかった3つのこと)今年は、スタッフとして運営に携わったその合宿について、お伝えしたいと思います。

「あすのば」の合宿ミーティングは、今後の対策や「あすのば」の活動などについて考えるきっかけ作りを目的として、昨年初めて行われました。今年度も全国各地からひとり親家庭や社会的養護の経験がある、または学習支援や子ども食堂など子どもに寄り添う活動をした経験がある、「子どもの貧困」問題に興味がある高校生・大学生世代の若者約60人が集まり、合宿を行いました。
 

 
経験や想いを共有し合い、次の一歩を踏み出す
 
合宿の全体テーマである「シェアのば~その経験を、わかちあう~」、そして各プログラムには、当事者・支援者が混ざって語る場を持ち、それぞれの経験や想いを共有し合いことで、次の一歩を踏み出すきっかけとなってほしいという願いが込められ、学生が主体となって考えました。
 
この合宿のメインプログラムは、「シェアのば」です。上記で述べたように、経験や想いを共有する場として設定しています。昨年、主に共有されたのは、「過去と悩み」でした。普段、自分が歩んできた人生について人に話すことはありませんし、貧困などの問題を抱えるほどそれは難しくなってしまいます。しかし、過去の体験が現在の悩みに繋がっていることの多い中で、それに気づかずに自分で抱え込んでしまう傾向があるのも子どもたちの特徴です。それらを話せる場を作ったことによって、自らを知り、次の一歩を踏み出せた参加者が多くいました。今年も大枠を同じように設定し、「普段は、話さないことを話すことができた」という声をいただきました。
 

聞いてくれるだけで嬉しい

しかし、プログラムを進める中で気付いたのは、「話す」ことだけが「シェアのば」ではないということです。
 
合宿中はカレー作りやバーベキュー、スポーツ大会などの楽しむプログラムも組まれています。これらを行っている間は、過去と悩みについて「話す」時間は減るものの、「遊ぶ」「食べる」などの動作を共にします。そもそも、合宿やキャンプというもの自体が、知らない人と「寝る」「入浴する」など、普段とは違い、動作を一緒に行います。そのような「動作」、そして「時間」「場所」「思い出」などが共有されることも「シェアのば」になるのです。このように、誰かに何かを話すことが出来たという感覚だけでなく、普段しないことを誰かとしたという感覚は、心の中に色濃く残り、その後の支えとなります。
 

また、参加者の感想の中に「自分なんかにできることはあるのか不安で仕方なかったが、『聞いてくれるだけで嬉しい』という言葉を聞いて楽になった」という声がありました。正にこれこそがこの合宿の核心なのではないでしょうか。

聞いてくれる人がいることの大切さはもちろん、「誰か」と「誰か」の双方がいることで物事が成り立つということを認識させられました。誰かに何かを話すということは、話すこと自体もそうですし、話そうと決心するまでにも大きな負担がかかります。「本当に話してもいいのだろうか?」「受け入れられないのではないだろうか?」という葛藤の中で真剣に話を聞いてくれる相手というのは、かけがえのない安心させてくれる存在です。

「聞く人」がいることで「話す人」が生まれ、「話す人」がいることで「聞く人」が生まれる。その関係は一方向に見えますが、実は双方向であり、どちらも受け手でありながら支え手となっていることを実感しました。

この合宿は年に一度、たったの数日間のみですが、合宿中に得た気持ちや繋がりは長く続きます。一度、何かを話せた、何かを共にした存在は例え離れていても心許せる存在であり、相談もしやすいのです。全国から集まった様々なメンバーに刺激を受け、もう少し踏ん張ってみようと思えた参加者がいたことも事実です。

普段から様々な立場の人と交流し、何かを共有できる場がもっと必要なのではないのでしょうか?
 
 
私たち「あすのば」は、今回の合宿で共有された子どもの声や想いを大切にしながら、①調査・研究とそのデータ等に基づいた政策提言、②全国の支援団体の活動が持続し発展できるような支援団体への中間支援、③子どもたちの自立のために物心両面での子どもたちへの直接支援、の3本柱の活動を行うために奔走いたします。

昨年12月に設立された「あすのば子ども委員会」を中心に子どもの声を大切にした活動を引き続き行うとともに、現地の支援者・支援団体や子ども・若者、地方自治体、企業などと一緒につくりあげる「全国キャラバン」を今年度よりより3年かけて全国各地で展開していきます。

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「子どもの貧困対策法」成立から満2年を迎えた2015年6月19日に、子どもの貧困対策センター「あすのば」が設立・誕生しました。「あすのば」は、①調査・研究とそのデータなどに基づいた政策提言、②全国の支援団体の活動が持続し発展できるような支援団体への中間支援、③子どもたちの自立のために物心両面での子どもたちへの直接支援、の3本柱を担います。また、子どもがど真ん中・「センター」のポジションとして、孤立し声を出せない子どもの声も大切にする運営を目指します。

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