ふくしまキッズ」という取り組みをご存知でしょうか?

東京電力・福島第一原子力発電所の事故により、高い放射線量にさらされ続けている福島。子どもたちは、屋外活動を制限されたり、この猛暑の中でも肌を露出しないなど、非常に不便でストレスの多い生活を強いられています。そんな中、福島の子どもたちを、放射線の心配のない土地に招き、中長期のサマーキャンプを行なっているのが「ふくしまキッズ」です。「福島の子どもたちに思いっきり遊べる夏休みを」と支援期間を5年間と決め、東日本大震災のあった2011年6月よりこれまで類を見ないほどの多くのNPOが連合し、地方自治体や民間企業と連携してスタートしました。

あれから3度目の夏の活動を終え、支援開始から3年目を迎えたふくしまキッズの東京報告会の様子をお伝えいたします。なお、下記の記事は、当日の進行を務めたふくしまキッズ副委員長の吉田博彦氏(NPO法人教育支援協会・代表理事)のお話をまとめたものになります。

◆ 約500人の子どもが活動に参加し、1,600人以上がボランティアに携わる

今年度も、様々なストレスを抱える福島の現状から子どもたちを守り、将来の福島を担う若者を育てるために、市民が力を合わせてふくしまキッズの活動を継続することを基本としました。福島県内在住の子どもたちを対象として、世界からの支援金だけでなく、保護者にも負担していただき、国や福島県にも協力を求めて参ります。原発事故から三年目に入り、被災状況が多様化することを受けて、選択肢を増やすために、多様な活動を作り出し、今年度も福島県外だけでなく、福島県内での活動を作り出して参ります。

今夏は、平成25年7月27日(土)~8月25日(日)の期間で活動を実施しました。あぶくま、会津、北海道、信州木曽、愛媛で活動を実施し、夏季参加者で399名、一学期参加者496名が活動へ参加をしました。


福島あぶくまプログラム(合計54名)
8月1日~8月11日:福島県(主要拠点:鮫川村)

福島南会津プログラム(合計21名)
7月28日~8月1日:福島県(主要拠点:檜枝岐村)

北海道プログラム(合計273名)
7月27日~8月25日:北海道(主要拠点:七飯町大沼及び全道)

信州木曽プログラム(合計26名)
8月3日~8月11日:長野県(主要拠点:大桑村)

愛媛プログラム(合計25名)
8月9日~8月18日:愛媛県(主要拠点:今治市、西条市)




今回も多様な形態でボランティアの方々にご協力いただきました。学生ボランティアはもちろんのこと、ホームスティ先として受け入れて頂いたり、体験プログラムをご提供を頂きました。協力・連携団体は、20NPO、31地域協議会、95企業、12協会、 25大学・学校、8財団、25自治体になります。関係した方々を一部ご紹介をすると、支援金募金者363人または団体、協力スタッフ64人、支援者18人、参加ボランティア1,633人、ホームステイ引き受け家庭29です。この場を借りて厚く御礼を申し上げます。ここで初心を振り返るために、ふくしまキッズのスタートとなった2011年夏の映像をご覧いただきたいと思います。

◆ 今期の活動の振り返り

活動当初に比べて、事務局運営、経理管理なども2年間でかなり改善されました。各協力組織などとも全体計画が共有されており、問題はありませんでした。ふくしまキッズは支援活動であるので、参加者募集については、積極的な広報は今以上にはしない方針です。長期生活全体への対応については、「普通の夏休み」という基本コンセプトが固まって、長期集団生活における、ごみ処理、洗濯、食事のメニューや栄養管理などの基本的な子どもたちの生活に対する対応には大きな改善が見られました。食事提供はかなりの負担になっていて、地域の資源を発掘し外注も考慮して参ります。引率等の運営に関しては、一つの単位が小さくなったため、事故の起こる確立は小さくなりました。ただし、仙台空港利用となって保護者には不便をおかけいたしました。

食中毒についてご報告いたします。北海道Eコース(27名。28泊29日:滝上町⇒南富良野町⇒大樹町⇒厚岸町⇒鹿追町)において、8月16日頃から、複数名が腹痛・下痢・嘔吐の症状を訴え、9名が入院しました。内1名は重篤な症状なため市立釧路総合病院へ転院しました。その際、保護者にも現地へ来て頂きました。その後、20日に0157が検出されたと病院から連絡がありました。これらの原因は、釧路保健所の調査の結果、15日に大樹町での共同調理におけるものと確定されました。1名の子どもは命に別状はないものの、継続的な治療と観察が必要なため、3週間程度の入院となり、他の8名は20日に全員が退院しました。この段階では保菌は確認されていませんでした。そのため、できるだけ早く家庭に返すこととし、21日をもって当コースの中止を決め、入院中の1人を除いた26名が保護者のもとへ連れて帰りました。その後、7名の子どもに保菌が確認され、陰性の判断が出るまで、登校できませんでした。9月3日に入院していた子どもが退院し、帰郷。9日までには全員が登校しています。

なぜ、食中毒は防げなかったのかということに対しては、この問題に対する注意意識が低かったと考えています。今回の事故を受けて、今後、しっかりとした対応を図って参りたいと思います。事故後の対応は、連絡と対応が早かったことで事態を最小限で抑えられました。また、親元にできるだけ早く返したことで、子どもに対する精神的な被害は最小限で抑えられたと思います。今回の被害家庭からの継続して欲しいとの声があり、これを尊重したいと考えています。


◆ 今後の課題と活動の成果

今後の課題についてです。昨年も確認したように、一人ひとりが人と絆を作る、絆を伝えていく、そういう役割を「ふくしまキッズ」の活動を通して一人ひとりが果たしていきます。このことが子どもたちの育成に極めて重要だと考えています。そのためには、「私たち」という集合的な主体を形成していくことがどうしても必要です。市民・民間の資金だけで「ふくしまキッズ」を行うだけでなく、公的資金の獲得へ向けての活動も強化していく必要があります。大切なことは、政治や行政に任せるのではなく、私たち一人ひとりが子どもたちへの責任を果たし、自分たちの社会に対する働きかけを全力を上げて行っていくことだと考えています。

今回のふくしまキッズ活動成果をご報告します。詰め込みすぎない活動が定着し、子どもの内発的活動を喚起することができ、「生きる力」が育っています。保護者から保健室登校だった子どもが参加後、登校できるようになったと報告がありました。色々な地域を周り、たくさんの人のお世話になり、出会いと別れを繰り返す中で子どもたちが育ちました。人の世話になることで利他精神が育まれます。北海道で受け入れを担当してくれているNPO法人ねおすの上田さんがまとめの記事を書いて下さいましたのでご参照ください。また、客観的な教育効果については、昨年度に平成24年度文部科学省委託事業として調査をしております。ウェブで報告書も全て公開しております。

<2013年09月号 vol.7>「イマジネーション」こそ、「生きる力」である-この夏に福島の子どもたちが教えてくれたこと

平成24年度文部科学省委託事業「体験活動推進プロジェクト」事業報告書 "ふくしまキッズ”の教育的効果

◆ 2013年度中間決算報告と今後の計画

2013年度中間決算報告をいたします。ふくしまキッズは、多くの団体がかかわるために、社会からいただいた支援金の公正な使い方を示しています。会計監査の委員を専門家にご協力を頂いております。決算委員会を9月27日に開催し、この夏の会計を締めました。以前よりも参加者が減り、人件費と食費があわせて600万円、プログラム運営費で1000万円の経費節減が出来ました。しかし、支援金も減っており、結果、赤字となり、前記繰越分で対応しました。

次に今冬のプログラムの計画をご説明します。今年度は、12/21~12/29までの期間で実施し、正月期間は実施しません。北海道80人、横浜40人、愛媛20人、福島(あぶくま)20人、新規に静岡(富士山麓)20人の合計200人の受け入れを予定しています。今冬のプログラムの日程の流れは次の通りです。


10月20日 募集要項確定

11月02日 冬季募集開始

11月10日 募集終了

12月07日・08日 説明会・12/8実行委員会

12月21日~12月29日 活動

1月20日 第2回実行委員会


夏の決算から推定して予算規模を確定し、春の活動も冬と同規模として一緒に支援金を募集します。2013年冬・春を合わせて三千万円を目標金額としております。ご協力をお願いいたします。

ふくしまキッズ実行委員会の今後の活動方針の追加します。ふくしまキッズの活動と目的を共有する他の団体の福島の子どもたちの支援活動と協力し、将来の福島を担う人材を育成する教育事業の一翼を担う活動へと広げていきます。 その一つとして、これまでもご支援をいただいてきた東日本大震災復興支援財団の「福島子ども力プロジェクト」と協力して、そのプロジェクトに参加するNPOなどと協力して活動を進めて参ります。最後に一部ではございますが、福島からのメッセージをご紹介します。


「娘が帰ってきました。三週間前、出発の前日に急に「三週間長くて不安だよ」と泣き出した顔はどこへやらで、笑顔一杯でバスを降りてきました。」

「夜中まで話は止まりません。朝は寝坊かと思いきや、7時にはゴソゴソ起き出し荷物を整理していました。起こしてもなかなか起きない娘はどこに…?三週間の早起き生活がすっかり身についたようです。」

「スタッフの皆さま、ボランティアの皆さま、子供たちに関わってくださったすべての方に心から感謝いたします。12歳の娘にとって、また冬にふくしまキッズに参加できることが我慢の日常での心の支えになっています。どうか今後ともよろしくお願いいたします。」



今回の東京報告会には、ふくしまキッズの支援委員の音楽評論・作詞家の湯川れい子氏、京都造形芸術大学教授の寺脇研氏も来場され、冒頭や閉会にあたってのご挨拶されました。また、関西、東北、北海道からもボランティアとして携わって学生たちが集まっていました。もう何回も参加している学生もいれば、初めて参加したという学生もおり、現地での子ども達の様子を詳しく説明してくれました。

ふくしまキッズに限らず、段々と震災に関する報道量も減り、活動に必要なリソースも集まりにくくなっています。五年間の活動終了まで残る2年間は、ふくしまキッズにとっていくつもの困難の乗り越えていくことになると思います。ぜひ、福島の子どもたちのために少しでも多くのご支援をいただければと思います。