2013年6月に「子どもの貧困対策法」が制定されて以降、「子どもの貧困」に関する話題はずいぶん増えたように思います。「日本の子どもの貧困率は15.7%。約6人に1人が貧困」等といった言葉は、メディアでも頻繁に取り上げられています。

この話題を耳にしたとき、多くの人が驚くと同時に次のような感想を持ちます。

「日本に貧困の子どもなんて本当にいるんだろうか?」

「今も目の前に下校途中の小学生の集団がいるけど、とてもじゃないけど6人に1人も貧困状態の子どもがいるようには思えない。何かの間違いじゃないか?」

しかしながら、「貧困」という言葉の定義について説明をすると、みんな急に納得します。


◆ 2つの貧困

貧困には二種類の定義があります。一つは「絶対的貧困」。これは、生命を維持するために最低限必要な衣食住が満ち足りていない状態のことを指します。例えば、途上国で飢餓で苦しんでいる子どもや、ストリートチルドレン等はこれにあたるといえます。

もう一つの定義は、「相対的貧困」。これは、その地域や社会において「普通」とされる生活を享受することができない状態のことを言います。この場合、「貧困」であるか否かは、その人が生きている社会の「普通の生活」との比較によって相対的に判断されます。「貧困」の基準が、その人が生きている国、地域、時代等によって、変化することが「絶対的貧困」との一番の違いです。

最初に述べた「日本の貧困率」は、日本の「相対的貧困率」を指します。詳しい計算式までここでは説明しませんが、日本で相対的貧困状態といわれる所得のレベルは、「4人世帯の可処分所得が250万未満」くらいだとイメージしてください(OECDの基準を適用)。

貧困の定義を説明したところ、ある方から次のような感想をいただいたことがあります。

「なるほど。それなら日本の貧困率が15.7%というのもまだ納得できる気がする。」

「つまり、相対的貧困とは絶対的貧困よりもマシな状態のことを指すんだね。」

私は、「それは違う」と言いたい。そんなにこの問題は単純ではありません。

「相対的貧困」は、ときに「絶対的貧困」と同レベルのダメージを人に与えます。

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