(発達障害のあるお子さんに療育を行うプレイルームの様子)

◆ アスペルガー症候群がなくなる?診断基準の改定

自閉症、アスペルガー症候群、広汎性発達障害など様々な障害名が「自閉症スペクトラム障害」という診断名に統合されることになりました。

2013年に、アメリカ精神医学会が定めるDiagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders; DSMが改定され、診断基準がより明確に、厳密になったためです。グローバルスタンダードともいえる診断基準の改定は、日本の医療や支援の現場にも影響を与えると考えられますが、ひとくくりに自閉症スペクトラム障害といっても、知的な能力や言語能力など個人差が非常に大きいのが特徴です。特に、知的な遅れが軽度である人々の状態をさすキーワードがないことは、支援現場での情報伝達や共有に不便さを生じさせる可能性があります。そのため、アスペルガー症候群等の名前は、当事者の特徴を説明する用語として今しばらく使われていくことになるでしょう。

◆ 様々な社会課題と関係している発達障害-6.5%が発達障害の可能性

自閉症スペクトラム障害は、不登校や引きこもりなど、様々な社会的課題にも密接に関係している可能性が示されてきました。

2006年の厚生労働省のデータによれば、ニートの就職・自立支援施設利用者の23.2%に、発達障害の傾向が示されました。徳島大学大学院の境泉洋准教授らのグループが2010年に行った調査では、引きこもりの4人に1人が発達障害の可能性があるとされました。文部科学省が平成24年に発表した小中学校の教職員に対する調査では、通常学級に在籍する発達障害の可能性のある児童数が、全体の6.5%に達するという結果が示されました(表1)。100人に6.5人というと、1クラスに2~3人はいる計算になります。

 

もちろん、教員へのアンケート調査の結果であるため、貧困や虐待を含む後天的要因による学習の遅れや生活の乱れから、特別な支援を要する児童も含んだ値だと考えられます。しかし、この調査では、対人関係やこだわりといった自閉症スペクトラム障害の診断基準に関連が強い項目の該当児童が1.1%いるという結果も示されており、発達障害への対応に関する教育現場の困り感が、浮き彫りになった調査といえるでしょう。


◆ 発達障害の子に良いことは、どんな子にも良い-ユニバーサルデザインの考え方

これらのデータは、発達障害により周囲との関係に困難を抱えている人々が、私達が日々生活している社会に沢山存在していることを示しています。職場仲間や、わが子の同級生、親戚や友人の子ども、もしかしたらあなたの家族も、支援を必要としている可能性があります。

重要なことは、子育てや教育、職場と言った誰もが通る道には、ユニバーサルデザイン(障害・能力を問わずに利用することができる事物や情報の設計)に基づいた環境やコミュニケーションの改善が必須だということです。

以下は教育現場の例ですが、子育てや保育、就労の現場でも全く同じことが言えます。

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