(宮城県石巻市・TEDICの学習支援の様子)

◆ 深刻な子どもを取り巻く環境

ある男の子がこんなことをつぶやきました。「親が精神疾患、アルコール依存症を煩っている。」通院はしているものの、時々、家の中で大声を上げたり、物を投げたり、自分の感情をコントロールできなくなることがあるそうです。

仮設住宅に済んでいる彼には、逃げ場がない。彼自身に向けられた暴力や暴言だったりするわけではありませんが、その場に居合わせざるを得ない、その心のうちは、想像しても想像しきれない重いものが渦巻いています。

彼がTEDICに繋がったのは、この親自身の精神疾患について、別のNPOが支援にあたっているうちに、子どもがいること、また困難な状況に置かれていることがわかったという経緯です。彼自身は、以前の学校を辞め、現在は通信制の学校に通っています。

◆ 子ども「だけ」の支援では解決できない大きな根っこ

TEDICは震災直後の1年間こそ、学校代わりとしての学習支援を掲げて、活動をしてきたものの、現在は「社会的な繋がりを失いそうな子どもたち」への居場所作りを行っています。


(TEDICが運営する放課後教室の様子)

震災が教えてくれた教訓の1つとして、「今日の当たり前が、明日の当たり前とは限らない」ということがあります。学校や家庭での繋がりのみでも、頼れる人がいて生きていける子どもでも、どんなタイミングで、その繋がりを遮断されてしまうかわかりません。そこでTEDICでは、学校と家庭以外での社会との繋がりを生む場所として、自習サポートをコンテンツにした放課後教室という事業を実施しています。

したがって、集まってくる子どもたちは、特に何の問題もなく学校に通っている子どもから、様々な困難を抱えている子どもまで様々です。だが、結局のところ、後者の子どもたちが多く集まってきています。学校での対人関係の悩み、学力不振に始まり、家庭での親子関係、経済的困窮、時にはネグレクトや虐待が疑わしいケースにも遭遇することがあります。

ある中学生の男の子は、家の借金のことで責任を負わされそうになっていて、そのことに悩んでいたりする。ある高校生は、時には車の中で一晩を明かすような家庭環境だったりします。ある小学生は、親に甘えられた事がありません。「お金あげるからあっちにいって!」と親がコミュニケーションをすべてお金で解決してしまうからです。(背景には、親の精神疾患があったり、仮設住宅での生活があったりなどするが、ここでは割愛します。)

そんな子どもたちがTEDICのチューター(スタッフ)に悩みを打ち明け、不安を吐露し、時には悔しそうな表情で憤りをつぶやく。個別での対応を迫られることもしばしばです。チューターに出来る事は彼らの気持ちを受け止めること、一緒に悩むこと、考えること、「助けて」のサインに気付くこと。チューター自身が、問題の大きさに無力感に苛まれることがないように、事務局でもサポートをしなければならなりません。

例えば、こんな調査結果があります。

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