女子高校生サポートセンターColaboの仁藤夢乃です。私たちは、社会的に孤立し困窮状態にある少女の自立に向けたサポートを行っています。今回は、現在深刻な問題となっている「難民高校生」を取り巻く問題についてお伝えしたいと思います。「難民高校生」と聞いて、みなさんはどんな人を想像しますか・・・?

私たちは、家庭や学校、他のどこにも居場所のないと感じている高校生の事を「難民高校生」と呼んでいます。

◆難民高校生だった高校時代の私

高校時代、私は渋谷で月25日を過ごす「難民高校生」でした。私がそんな高校生になったのは、ささいな出来事の積み重ねがきっかけでした。父親の転勤をきっかけに家庭関係が少しずつ変わり、家庭崩壊。ぶつかり合う家族と顔を合わせたくないと、私は放課後渋谷で過ごすようになりました。精神的にもまいってしまい、夜眠れなくなり、昼夜逆転の生活になりました。不摂生が続いて遅刻や欠席が多くなると、学校で教員から注意されるようにもなりました。

「家族も教員も本当の想いを分かってくれない」「自分にはどこにも居場所がない」と私は街に出て働いたり、友人たちと過ごしたりしていました。やりたいことも夢もなく、学校にいく目的が持てずに、高校2年生の夏に高校を中退。当時の私や友人たちは、家庭にも学校にも居場所を失くした『難民』でした。

◆社会的に孤立しやすい高校生

家庭と学校の往復を生活の軸にしている高校生は、そこでの関係性が崩れると社会的に孤立しやすい状況にあります。どこにいても落ち着かず、安心して過ごしたり眠ったりすることのできる場所がなかった私は、同じように「居場所がない」と感じている若者が集まっていた渋谷で過ごすようになりました。

2005年頃、テレビで30代男性が「ネットカフェ難民」として取り上げられるのを見ながら、当時16歳だった私は友人たちと「うちらネットカフェ難民じゃん」「リアルホームレスだよね」と言いながらファーストフードや漫画喫茶を転々とし、お金がないときには段ボールを敷いてビルの屋上で一夜を明かしたこともあります。そこは、大人の目に触れない難民キャンプのような場所でした。

街にはたくさんの友人がいましたが、本当に困っている時に支え合えるような力は互いにありませんでした。また皆家庭や学校で傷ついた経験があり人を信頼できず「うわべ」の付き合いにも慣れていたため、崩れやすい関係性でした。

街を彷徨う私たちは、ほとんどの大人たちから冷ややかな目で見られ、声を掛けて来るのは全て、援助交際を持ちかけてくる男か、違法風俗店や売春組織など裏の世界に引きずり込もうとする大人たちしかいませんでした。友人たちはどんどんそういう世界に入って行きましたが、それが当たり前の日常でした。 

◆高校生を取り巻く日本の現状

居場所やつながりを持たない「難民高校生」は、さまざまな問題が複雑に絡み合ってうまれています。

たとえば、高校中退者数。日本で年間何人の高校生が中退しているかご存知でしょうか。答えは、約5万5千人。これは、全体の約2%に当たります。日で割ると、毎日150人以上の高校生が高校を辞めていることになります。

また、不登校者数は中学校では91,446人(さらに、不登校にカウントされないが保健室登校や特別室登校をしている生徒は10万人を超えると言われる)、高校では57,664人存在します(文部科学省「平成24年度児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」)。

19歳以下の自殺者数は505人(内閣府自殺対策推進「平成25年中における自殺の状況」)。今日もどこかで子どもが自殺し、自殺を考えている子どもはその何倍も存在します。

また、子どもの6人に1人が貧困状態(経済的困窮状況にあり、給食費や修学旅行費が払えない等)にあると言われる今、この他にも虐待、ネグレクトなどの家族関係、いじめや恋愛などの友人関係、鬱などの精神状態や性被害…。

さまざまな問題が重なって、居場所やつながりを持たない「難民高校生」がうまれています。ここに挙げた数字は氷山の一角であり、私たちは日々、さまざまな事情を抱え、行くあてがなく路上で生活を送る少女に出会っています。 

◆難民生活から行き着く先

私はその後、向き合ってくれる大人との出会いや関わりを通して「難民生活」を脱することができました。大学にも進学し充実した日々を過ごしていましたが、渋谷の友人たちはみな、難民生活から抜け出せないどころか、ますます困窮状態に追いやられ性的搾取や違法労働に行きついたり犯罪に手をそめたりするようになりました。そのことに気付いてから、高校生に目を向けた活動を始めました。

女子高校生サポートセンターColaboでは、社会的に孤立し困窮状態にある10代の少女、とくに性的搾取や有害業務に行き着いてしまった少女に対するサポートを行っています。

相談事業や、食事を十分にとることができていない少女への食事提供、帰るところがない少女の宿泊支援、学習支援や進路相談、青少年を取り巻く問題の実態調査・発信などを通して、子どもと若者をつなぐきっかけの場づくりを行っています。

大人向けには、こうした少女を取り巻く実態を知るための「夜の街歩きスタディーツアー」を行っています。都内の夜の街を歩き、身近にありながら大人たちの目には見えにくい現状を解説します。目で見て肌で感じたいただき、現状を知り、「気づける大人」を増やしていくための活動として位置づけています。ぜひ、ご参加ください。

女子高校生サポートセンター・一般社団法人Colabo 代表理事 仁藤夢乃


本記事を書いた記者の記事一覧


【ご支援のお願い】

女子高校生サポートセンターColaboでは、こうした少女を支える活動を行っています。活動を応援していただくサポーター会員や寄付等でご支援してくださる方を募集しています。

【村上龍氏が推薦!難民高校生-絶望社会を生き抜く「私たち」のリアル】

家庭・学校のつながりを失い、渋谷を彷徨っていた中高時代。やりたいことも夢も失くし、学校を中退。妊娠、中絶、DV、リストカット、自殺未遂…。私の周りには、そんな子がたくさんいた―ギャル・ヤンキー・引きこもり…。かき消されてきた、それぞれの声。  

高校時代、私は渋谷で月25日を過ごす”難民高校生”だった。「居場所を失くした若者」として希望のない生活を送っていた著者が、小さなつながりから変わりはじめ、国際支援の大きなイベントや 被災地支援の商品企画プロジェクトの成功を通じて、自分への自信と社会での居場所を取り戻していく過程を描く。「ささいなきっかけから社会的に孤立する」ことは誰にでも起きる可能性があることであり、特に属するコミュニティが限られる「若者」に対する社会的支援の必要性を訴える。

難民高校生-絶望社会を生き抜く「私たち」のリアル

著者: 仁藤夢乃
単行本(ソフトカバー): 315ページ
出版社: 英治出版 (2013/3/25)
ISBN: 978-4-86276-155-2
価格:1,620円
目次:

1章 私が「ダメな子」になったわけ
2章 希望を失う若者たち
3章 私を変えた外の世界
4章 被災地で出会った中高生のリアル
5章 町の小さな高校と和菓子屋さんの挑戦
6章 若者が夢や希望のもてる社会をつくるには
おわりに―当事者として語ることの意味 

仁藤 夢乃(にとう・ゆめの)
1989 年生まれ。中学生の頃から「渋谷ギャル」生活を送り、高校を2 年で中退。その後、ある講師との出会いをきっかけにボランティア活動をはじめ、明治学院大学に進学。在学中には高校生を対象とする国際支援のファッションショーを成功させた。東日本大震災後、活動団体「Colabo」を立ち上げ、被災地の高校生と開発した支援金付大福は、発売3 カ月間で3 万3700 個を売り上げた。現在は、" 難民高校生” の問題を社会に発信するとともに、「若者と社会をつなぐきっかけの場づくり」事業を展開している。