「子どもの貧困対策法」が施行されてから、「子どもの貧困」の問題について触れた記事を目にする機会が圧倒的に増えました。これまでの記事を通じて、この問題についてご紹介してきました。(本記事を書いた記者の記事一覧)多くの人に知ってもらうことが課題解決の第一歩だとは思います。しかしながら、「解決策」を提示しなければ、解決に向かうことはありません。そこで、今回は、子どもたちの放課後の学びの格差を埋める「学校外教育バウチャー」という解決策について、ご紹介したいと思います。

2種類の「教育バウチャー」とは?

「バウチャー」という言葉は、あまり日常的に使う言葉ではないと思います。「バウチャー」とは、「引換券、金券、クーポン券」を意味します。飲食店で割引等に使えるクーポン券は、馴染みがあると思いますが、ここでは「バウチャー=クーポン券」と考えて大丈夫です。「教育バウチャー」とは、教育目的で利用できる「クーポン券」を支給する補助金制度ことを言います。

実は、この「教育バウチャー」には2種類があります。2つは、同じ教育バウチャーといえど、ねらいが全く異なります。

一つは、「学校教育バウチャー」。私立学校に利用できるクーポン券を、保護者に給付するというものです。子どもや保護者が私立学校も公立学校も自由に選択できるようにすることによって学校間の競争を生み、「学校教育」の質を高めることが大きなねらいです。もともとはマクロ経済学者のミルトン・フリードマンによって1950年代に提唱されたもので、既にアメリカやイギリス、オランダ等、海外ではいくつもの導入事例があります。一方で、「学校間の序列化が進み、教育格差が拡大するのではないか?」といった批判があることも事実で、様々な議論がなされています。日本では、まだ実例がありませんが、2006年の第一次安倍晋三内閣のときに、「教育バウチャーに関する研究会」が設立する等、国内での導入が検討されたこともあります(結局、上記のような格差拡大の懸念や、安倍首相の辞任等によって、導入されることはありませんでした)。

そして、もう一つが「学校外教育バウチャー」です。これは、低所得世帯の子どもに塾や習い事等といった放課後の学習や体験の機会(学校外教育)に利用できるクーポン券を提供するというものです。「学校外教育バウチャー」のねらいは、「経済的な課題を抱える子どもの学びの機会を保障すること」であり、前述の私立学校に対するバウチャー給付とは名前と方法が似ているだけで趣旨は全く異なります。学校外教育のウェイトが大きい日本では民間NPOだけでなく自治体の教育政策としても実施されています。日本と同様、学校外教育のウェイトが大きい韓国でも、同様の政策が存在することは確認されています。

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