ビッグイシュー・オンライン編集部より:2014年12月14日(日)に開催された「若者政策提案書・案」の発表シンポジウムより、各委員の講演内容をご紹介いたします。

シンポジウムの最後に、ディスカッションなどを通した感想や若者支援に必要なことを最後に各委員から一言です。



本人たちの意見を反映した政策に

津富:本人たちがどんな社会にしたいか、ということを聴き取ってきちんとした仕組みにしないとうまくいかないと思う。若者による「若者政策」なのか、支援者による「若者支援の政策」なのかで違う。若者支援を論じている限り限界がある。そこを深めていく必要がある。

住宅は生きる基盤である

高橋:今日の会場の発言に勉強させてもらった。また自分の頭の中をいろいろ整理しないといけない。住宅支援は大事だと思っている。その一方で、「一人で住め」と言っても、かえって不安だったり、むずかしいこともあったりと気になっている。どういう住宅支援がいいのか僕の中では答えがまだない。

白水:たくさん勉強させていただいた。住宅は生きる基盤なので必要だと思う。豊中市にも、空き家はたくさんある。交渉して「使っていい」となっても、一人で住ませるのはリスクがある。近所の人のボランティアが見守るのもいいが、とっさのときに対応できる人、つまり仕事として関わる人が必要。その両輪じゃないと続かない。

「若者がコミットしたい社会」、本当にそうだと思う。センターのサポートを受けて正社員になったのは意外にも40、50代。彼らはこれまで社会の経済成長も経験し、自分も働くことに慣れており、「たまたま、いま折れている」という人は次につながれた。

でも、若い人は、社会、組織、自分への信頼がない。生きるエネルギーが低い。そういう社会にしたのは大人の責任。彼らを大人が踏み台にしてはいけないし、一緒に生きる仲間としてどうできるか考えていきたい。

「居場所づくり」から見えてきたこと

青砥:僕は提案のなかで「自分の人生を築く主体」というフレーズが大事だと思っている。僕たちがやっているのは「居場所づくり」。

学習支援にしても若者自立支援ルームにしても、みんな居場所づくり。そこでいろんな人生を歩んできた若者がいる。学生もいるし、障害を持った人もいる。年齢もいろいろ。多様な若者たちが混在する場。そこで一つの居場所をつくって、議論しながら自分がどんな人生を歩んできたか振り返り、これからどう生きていくか考えていく場である。

本来は学校がそうあるべきだが、そうなっていないので、地域社会の中に場を作ることが必要。自立支援ルームでも、どういう場を作るかは、こちらで押し付けるのではなく、若者に話しあって決めてもらっている。若者の主体性を引き出すことが重要だと思う。

若者支援は長期的に社会全体で行っていくことが必要

宮本:若者政策提案書には全部盛り込んでいるので、消化するのが大変だと思う。「居場所づくり」最後に、みなさんから意見を言っていただき、一つひとつがもっともでありがたく思っている。日頃若者に関与して仕事をしている方でも、若者の「ある部分」に対してそれぞれがやっているので、全体状況が見えている方は少ない。「居場所づくり」現場を持って、日々若者に接して支援している方は生の姿を見ているが、それでも全体はなかなか分からない。それは、若者支援の歴史が浅い部分からきていると思う。

若者支援は流行ではなく、長期的に社会のインフラとして確立する必要がある。そのためには、若者に日々関与している人、民間から行政からマスコミ、研究者と、それぞれが全体状況を把握できていることが重要。つまり若者にかかわる担当者の質を上げていく必要がある。

社会福祉などは、いろいろな分野に分かれているが、体系があり制度があり、学校教育のなかで専門職養成もやっている。その分野に関心があれば、教科書を数冊読むと概要はわかるようになっている。

ところが、若者支援の場合は、数冊読めばわかるというものもない。法制度も極めて弱いし、いま入り口に立っているところ。10年間、それぞれの分野や団体が試行錯誤して編み出してきたもので対応している。

次の段階は試行錯誤のレベルから一段上げないともたないと思う。そのような思いから、この提案書には煩雑ではあるが盛り込むべきもの盛り込んで、体系の案を示した。抜けているところ、こっちだろうというところもある。なので、これを議論のたたき台にしてもっと完成度の高いものにしていってほしい。

若い方から意見をいただき気づいたことがある。若者支援政策ではなく若者政策なので、当事者である若い人たちが意思決定に参画しないといけない。

スウェーデンやフィンランドやデンマークに何度も行ったが、この手のものには、まず第一に若者の意志決定への参画が盛り込まれている。

社会環境を変えるのは若者自身で、若者には支援を受ける権利があるが、同時に若者が自分の住む環境を変えていく権利と義務があり、チャンスを与えられるべきであり、そこでエンパワメントされる主体だ、ということがまずうたわれている。

いつも日本にはこれがないと感じていたが、この提案書も若者参画でなく作られたという弱点がある。受け身の支援である限りは、日本の若者は元気にならない。主体としてどう育っていくのかという観点が重要。そこの部分を『若者政策提案書』には書き加えたいと思う。

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