ひみつ基地

2016年08月号 vol.42

「困った子」ではなく「困っている子」生徒の数だけ、支援や指導は多様にある-東朋高等専修学校校長・太田功二氏インタビュー

2017年09月11日 18:54 by editorial_desk


健常児と障がい児だけでなく、不登校、引きこもり、非行なども含めた本格的な「共生教育」「自立支援」を実現させた奇跡の学校が大阪市にあります。
 
かつて生徒の問題行動が絶えなかった専修学校に一人の男性教員が招かれました。赴任後、その男性教員は問題の背景に生徒の「自信のなさ」や「発達障がい」が潜んでいることを知ります。気づけば、入学生の半数以上が不登校経験者や発達に課題を抱えた子どもたち。しかし、学校はそうした生徒たちに厳しい生活指導や校則といった管理教育を敷いていました。話が噛み合わない。指導が行き届かない。増え続ける退学者―。
 
いつしかその男性教員は学校改革を一任されるようになります。常態化されていた画一的指導から生徒一人ひとりに目を向けた十人十色の個性教育を進めます。不登校生徒のための特別クラス、発達に課題を抱えた生徒のための支援コース、パニックを起こしても一時的に避難できる部屋、学校生活に意欲を持てるイベントの開催、多様な生徒に対応したカリキュラムへの改善…。常に「今、生徒にとって必要なものは何か」を探し、実践し、考察し、また実践する。本当の意味での「自立支援」を問い続けた男性教員がいました。その男性教員こそ、現在の東朋高等専修学校の校長である太田功二氏です。
 
今回は、インクルーシブ教育を実現させた東朋高等専修学校の校長・太田功二氏のインタビューを掲載します。既存の学校に合わず、「困っている」生徒や保護者たちが今、何を求め、どんな教育を必要としているのか、お話をお伺いします。〔※本インタビューは、小中高・不登校生の居場所探し (全国フリースクールガイド2015~2016年版)からの転載文となります〕
 
「やらざるを得ない」状況に立ち向かった結果 
 

私が本校へ赴任した平成9年当時は、全国的に厳しい指導が主流となっている時代。しかし、そうした教育が不登校や発達障がいのある生徒の実態に合っていなかったのです。このままの教育を続けても学校として上手くいかない。旧態依然とした管理教育は一掃し、生徒の声に耳を傾ける教育を徹底していくことから始まっていきました。

まず、生徒に学校に来てもらうことが第一。そこで、最初は「自由選択科目」を設置し、生徒が学校を好きになれる機会を設けました。やがて、学校に通えても教室に入れない子のために「不登校傾向対策クラス」、どうしても登校が難しい子のために「土曜日コース」やe-ラーニングの導入。頑張って通う子に自信を持たせたいと資格取得授業や行事を増やし、生徒のタイプや興味に合わせてカリキュラムも編成されました。私は、「ニーズ」と表現していますが、実のところは、何か一つ始めるごとに次に必要になる要素が現れ、また、実際に「困っている」生徒を目の前にしているなかで、支援「せざるを得ない」早急な対応が学校に求められていたのです。ただ、そうして始めていった教育の一つひとつが、幸運なことに良い方向へと向いていったのです。

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