Eduwell Journal

2017年1月号 vol.47

元幼稚園教諭が教える!子どもが主役の幼稚園の選び方のポイント①-幼児教育で重要な「自由遊び」の時間

2020年05月25日 22:28 by eduwell_journal
 
子どもにどんな幼稚園でどんな幼児教育を受けさせたいですか?近年、様々な研究から幼児教育の重要性が述べられるようになってきました。(経験則や思い込みの教育から科学的根拠に基づく教育へ)今回の記事では、私自身の幼稚園教諭の経験と、客観的なデータをもとにしながら、子どもの成長発達の視点から考えた幼稚園の選び方のポイントをお伝えしていきたいと思います。幼稚園を選ぶ際の参考にしていただけたら幸いです。
 
増える保育園と幼稚園の連携
 
「そもそも幼稚園を選択肢に入れていない」「働いているから、幼稚園には入れられない」と思われた方、いらっしゃると思います。確かに、全国的には保育所の数の方が多く、需要も保育所の方が高い現状があります。しかし、待機児童が非常に多い実態を踏まえ、幼稚園でも、教育時間終了後に「預かり保育」を実施する園が非常に増えてきています。文部科学省が平成26年度に実施した「幼児教育実態調査」によると、「預かり保育を実施している割合」は、「公立幼稚園」で「60.9%」、「私立幼稚園」で「95%」、「合計」で「82.5%」と、かなり高い割合になっています。また、幼稚園と保育園の機能を合わせた「認定子ども園」の割合も徐々に増えてきており、内閣府子ども・子育て本部が行っている調査によると、認定子ども園の数は平成23年度は762か所でしたが、平成28年度は4001か所と、約5倍に増えています。
 

幼稚園と保育所の差が、以前ほどは大きくはなくなってきています。この記事では、基本的には幼稚園に重点を置いて述べていきますが、幼稚園、保育所、認定子ども園を合わせたときの、広い意味での「園」を探す時にも、参考にしていただければと思います。

幼稚園の見学に行くその前に
 
幼稚園を探す際、全ての幼稚園に見学に行くことは不可能ですよね。最終的には自分の目で見て判断するのが一番良いですが、見学に行く園を絞るために、事前に調べることが大切です。その際のポイントをお伝えします。 
 
チェックポイント1:「自由に遊ぶ時間」を保証しているかどうか?
 
各園のホームページを見ると、ほとんどの園が「一日の流れ」を載せています。その一日の中で、子どもの「好きな遊び」「自由な遊び」の時間があるかどうか、まず見てください。教師主導の一斉活動だけではなく、「子どもが自分で遊びを選び、主体的に遊べる時間」が、教育活動の中できちんと保証されているかどうかが、とても重要です。
 
「自発的な遊び」こそが幼児教育の中で重要な学習
 
2016年、ベネッセ教育総合研究所が、全国の約2,250人の保護者を対象に実施した、「園での経験と幼児の成長に関する調査」によると、「自由に好きな遊びをする」「好きなことや得意なことをいかして遊ぶ」「先生に頼らずに制作する」などの「遊びこむ経験」をした幼児ほど、「協調性」「がんばる力」「自己主張」などの、「学びに向かう力」が高い傾向があることがわかりました。また、「自由に遊べる時間、場所、素材や遊具が十分にある」などの割合や、「先生の言葉かけが温かい」「子どものやりたい気持ちを尊重している」などの割合が高いほど、「遊びこむ経験」がより多くできるという結果も示されています。

また、幼稚園教育の基となる「幼稚園教育要領」の第一章の中でも「幼児の自発的な活動としての遊びは,心身の調和のとれた発達の基礎を培う重要な学習であることを考慮して、遊びを通しての指導を中心として第2章に示すねらいが総合的に達成されるようにすること。」と明記されており、「自発的な活動としての遊びは重要な学習」であると、はっきり述べられています。
 
「幼児の自発的な遊び」は「学習」なのです。特定の技術や技能を教えることが「学習」ではありません。この「自発的な遊び」の時間を重要視しているか、否かが、幼稚園を選ぶ時の大きなポイントだと考えます。

各園で異なる「自発的な遊び」の時間
 
特に、私が重要と考えるのは、「自発的な遊び」の「時間の長さ」です。各園のホームページを見ると、「好きな遊び」「自由な遊び」と呼ばれる時間が全くない園は比較的少ないです。しかし、その時間が非常に短い園は存在します。時間軸を載せている園と、載せていない園がありますが、30分程度しかない園もあり、それは短すぎると感じます。
 
子どもたちが遊び始めるまでには、一定の時間がかかります。何をして遊ぼうかな、と考え、自分がやりたい遊びを探します。見つからない子は、教師の援助や働きかけにより、自分がやりたい遊びを見つけていきます。やりたい遊びが見つかったら、積み木を運んだり、必要な道具や遊具を持ってきたり、画用紙や素材などで自分がほしいものを作ったりなど、遊びにとりかかります。
 
大人からすると、子どもはすでに遊んでいるように見えます。しかし、子どもからすると、この時点ではまだ「遊んでいない」と感じているようでした。実際、このくらいのタイミングで、次の一斉活動などの準備で「お片付けだよ」と声をかけると、「えーこれから遊ぶのに!」という返答が返ってきたことがありました。
 
もちろん、鬼ごっこやドッジボールなど、すぐに始められる遊びもありますが、「遊びこむ」「夢中になって遊ぶ」には、やはり一定の時間は必要だと考えます。目安としては、幼稚園の教育時間は約5時間なので、最低でも午前中1時間半、午後1時間程度、自由に遊べる時間を組んでいると、ベストではないでしょうか。

「一斉活動」は、活動の意図がとても大切

勘違いしてほしくありませんが、学級全員が同じ活動に取り組む「一斉活動」を否定しているわけではありません。むしろ、「一斉活動」も必要です。みんなで取り組む活動の中で、普段関わらない友達と関わる経験、苦手なことに取り組む経験、教師の話を聞く経験、など、いろいろな経験ができます。しかし、一斉活動はあくまで、「好きな遊び」をより充実させていくために位置付けるべきです。
 
例えば、「好きな遊び」の時間に、ずっと一人で遊んでいる子どもがいたとします。教師は、「色々な友達と関わってほしい」と考えます。そして、学級活動の時間に、色々な友達と関わる楽しさを感じられるようなゲームを行います。それがきっかけで、友達と一緒に遊ぶことを楽しむようになるわけです。(もちろん、そうならない場合もありますが。)このように、一斉活動は何らかの意図をもって行われる必要があります。単なる技術や技能、知識を身に着けさせるだけの一斉活動は、無意味です。
 
幼稚園教育要領でいう所の「自発的な活動としての遊び」を充実させていくことを大事にしているかどうかが、大きなチェックポイントになります。ホームページの「教育方針」や「園長先生のあいさつ」などを読むと、その辺りが分かると思います。次回の記事でも、チェックポイントをご紹介していきます。

>>4.園へ見学に行く際に確認するべきこと

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Author:Eduwell Journal 編集部
本記事の執筆は、山田友紀子が担当。Eduwell Journalでは、子どもや若者の支援に関する様々な情報を毎月ご紹介しています。子どもや若者の支援に関する教育や福祉などの各分野の実践家・専門家が記者となり、それぞれの現場から見えるリアルな状況や専門的な知見をお伝えしています。「Eduwell」は、本メディアがテーマとしてきたEducation(教育)、welfare(福祉)、well-being(ウェルビーイング)の3つの言葉をつなぎ合わせて作られた造語です。本メディアは、子どもや若者を対象とした社会教育事業に取り組んでいる認定NPO法人「夢職人」が発行しています。

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