ひみつ基地

2017年05月号 vol.51

学校教員・教師志望の大学生こそ学校外へ出よう!-学生時代から学級経営に必要な力を磨く方法とは?

2017年09月06日 13:03 by editorial_desk
 
 「将来、学校教員・教師になりたい!」という気持ちで教育学部に進学しつつも、厳しい労働環境などが報じられている中、心のどこかで「本当に大丈夫だろうか?」と不安な気持ちを抱えている学生も多いと思います。前回の記事(学校教員・教師になってから苦労しないために必要なこと)では、大学内だけにとどまらず、企業のインターンシップや、学校や教育系NPOの中長期ボランティアに携わり、高いリーダーシップやコミュニケーション能力を在学中から学ぶ必要性を述べました。今回の記事では、学校教員・教師となって、実際に学級経営をしていくために、どのような経験をしておくことが大切なのか述べていきたいと思います。
 
「学校ボランティア」で得られる経験は限定的なもの
 
学校教員や教師を目指している学生に対して、大学側もボランティアを推奨しており、近隣の学校や母校などで、学校ボランティアをしている学生は、多いのではないでしょうか?筆者も教職課程をとっていましたが、教師を目指している友人は、ほとんど学校や幼稚園・保育園などで学校ボランティアをしていました。学校教員や教師になるにあたって、実際に自分が働く学校現場を見ておくことは大切だとは思いますが、学校ボランティアのみの経験では、学校教員や教師になってから重要となる3つの経験が不足すると考えます。
 

(学校ボランティアは、学校教員・教師のイメージをつかむためには有益です)
 
1.「責任をもつ」ということ
 
学校ボランティアでは、基本的には責任が生じるようなことはさせてもらえません。学級担任が授業を進めている傍ら、少しつまずきのある子どもたちのサポートをしたり、丸つけをしたりするような内容がほとんどです。筆者が以前勤務していた幼稚園にも多くの学生がボランティアに来ていましたが、来れる時間帯や曜日によっては、職員室で教材の準備しかさせてあげられない場合もありました。
 
新卒採用されれば、いきなり学級担任を任されることもあります。学級担任になれば、その学級に対して少なくとも1年間、責任をもって学級を経営することが求められます。30人~40人の子どもたちを預かり、必要なことを教え、育てていくのは、大変な責任が生じます。責任をもつ経験をしたことがないと、学級担任になった後のいきなりの責任の大きさに、つぶれてしまうことにもつながりかねません。学校現場のみのボランティアでは、一定の責任をもち、子どもたちをまとめたり、物事を進めていくような経験をすることは難しいと考えます。
 
2.「集団を指導する」ということ
 
学校ボランティアでできる経験は、1対1の個別指導、3名前後の少人数指導がほとんどです。全体から遅れている子どもや、少しつまずいている子ども、個別配慮が必要な子どもたちについてサポートするなど、子どもと一対一で関わる経験はしやすいです。NPOや行政の学習支援や個別・少数指導の塾なども同様でしょう。
 
しかし、学校教員・教師になった後は、個別・少人数指導だけでは、やっていけません。個別・少人数指導が必要な場面はもちろんありますが、基本的には30人~40人という大人数を相手に指導していく場面がほとんどです。場合によっては学級を越えて、学年の子どもたちの前で指導する場面もあります。個別・少人数指導と集団指導は、指導の仕方や必要な能力が全く異なります。集団を前に指導する経験を積み重ね、大勢の前でも緊張せずに、わかりやすく話す・指導する力を身に着けておく必要があります。
 
3.「生活を指導する」ということ
 
もう一つ重要なことは、学校ボランティアでは「生活を指導する」という経験ができないということです。学級担任として、子どもたちの学力の定着を図っていくことはもちろんですが、生活面の指導も同じくらい重要になります。時に子どもたちは、不適切な行動や言動をとったり、ふるまったりする場合がありますが、その際は適切な指導をしていく必要があります。単に叱り飛ばすということではありません。彼らがどのような心情でそのような行動をとっているのか、理解しながら関わる必要があります。
 
それは、集団を相手に授業を展開する力とは全く違います。時には、友達同士のトラブルを解決しなければならない場面も出てくるでしょう。高学年に上がるほど、いじめなどの問題も深刻になってきます。問題に向き合い、子どもと共に解決策を考えていくためには、子どもの気持ちを理解する力や、対話をしていくための高いコミュニケーション能力が必要となります。そのような力を学校ボランティアのみで身に着けることが難しいでしょう。
 

(様々な個性の子どもたちを前に、きちんと惹きつけて話せることは基本スキル)
 
学生時代から学級を経営するために必要な力を磨く
 
ここまでで挙げた「責任をもつ」「集団を指導する」「生活を指導する」という力は、全て学級経営を行うにあたって重要な力です。それらの力を磨くための経験は、学生時代からできます。例えば、週末や長期休み中に、子どもたちを連れて、野外活動や自然体験活動を行うボランティアがあります。「ボランティアってそもそも責任がもてないのでは?」と思う方もいると思いますが、研修や打ち合わせなどを綿密に実施した上で、ボランティアに一定の責任を課し、物事を任せるボランティアもあります。6~8人ほどで班を組み、宿泊活動となると3日間~1週間程度生活を共にします。気候などで条件が変わりやすい野外や自然環境において、子どもを預かり安全に活動するためには、ボランティアも一定の責任を負い、活動することが求められます。
 
また、多様なバックグラウンドをもつ子どもたちと一緒に生活する中では、様々なトラブルや問題にも直面します。初めからうまくいくことはありませんが、繰り返し経験する中で、「子どもと信頼関係を築く」「共に問題を解決していく」ということがわかってきます。学級担任として30人~40人の子どもを率いていくためには、まずは小集団を相手に、学級経営に必要な力を磨く経験を積み重ねることが不可欠なのです。
 
以前、教育委員会で教員採用を担当され、校長も務められていた先生に「新卒の先生に必要な能力とは何か?」を伺ったところ、「子どもと信頼関係を築く力」だとおっしゃっていました。「授業力の高さをはじめから求めてはいないし、授業力は経験を積み重ねれば比較的身に着けやすいもの。新卒の先生には、子どもと柔軟なコミュニケーションをとり、信頼関係を築く力がまず必要です。」ということでした。学校教員志望者向けの塾などで、授業力を高めるような講座もよく開催されていますが、授業力よりも前に、「多様な子どもたちと信頼関係を築き、チームをマネジメントする」とは、どのようなことなのかを学んでおくことが必要だと考えます。
 
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