ひみつ基地

2017年08月号 vol.54

積極的な「アウトリーチ」で、非行を未然に防ぐ取組みとは?-被害者・加害者のどちらも生み出さないために

2017年09月11日 15:56 by editorial_desk

近年、医療や福祉などの分野を中心に、サポートを必要とする方が施設へ来所する受け身の支形式ではなく、支援者がサポートを必要とする方に対して、積極的に働きかけを行っていく支援形式が広がっています。来所型の支援は、問題が生じた後に対処療法として役割が中心となりがちですが、支援者が積極的に働きかけを行っていく支援では、問題を未然に防ぐ予防的な役割を果たすこともできます。今回の記事では、「非行」の予防に焦点をあてて考えます。非行が起きる前にそれらを未然に防ぐための取り組みとしてはどんなものがあるでしょうか?

「アウトリーチ」で非行を未然に防ぐ

非行防止活動として、一般的には少年の深夜徘徊や喫煙等の行為を見かけた際に警察が行っている補導が挙げられます。また、学校や地域の方による見回り活動や防犯パトロール、それ以外にも街頭でなされる啓発活動も広い意味で含まれるでしょう。実はこれらの取り組みとは異なったやり方で非行防止活動に取り組んでいる団体があります。


(NPO法人「全国こども福祉センター」が行っている夜の街頭活動の様子)

上の写真は主に名古屋で活動しているNPO法人「全国こども福祉センター」が毎週実施している夜の街頭活動の様子です。

この活動は、夜の繁華街で中高生や大学生ボランティアが着ぐるみを着て、街ゆく人に非行防止を訴えているだけではありません。実は、この活動のメインは学校や家庭に居場所をなくして、夜の繁華街にいる子どもにこちらから積極的に声をかけて、その子と関係性をつくり、団体や活動に興味を持ってもらい団体の輪に加わってもらうことで、そういった子どもたちの「居場所」を作るきっかけとしてこの活動を行っています。

この活動のように、まず対象とする人を出向いて発見し、その人たちに必要な働きかけを行っていく方法のことを「アウトリーチ」と呼んでいます。

「アウトリーチ」は、支援を受けたい人が相談窓口に来て初めて支援を開始する受け身な支援とは異なり、本来支援を必要とする人を見つけ、支援が届かない人にもそれを届ける方法です。福祉の現場などで相談窓口に来ることができない人に対して訪問支援を行うなどの形で取り入れられ始めているほかに、最近では、子どもの貧困対策として、東京都文京区と5つの非営利団体が共同で運営する「こども宅食」がはじまっています。

「アウトリーチ」は、非行防止の分野においても、効果的な取り組みとして重要な意味をもっています。しかし、実際にはアウトリーチを活用した取り組みはほとんど行われておらず、非行が起こった後の事後の取り組み(矯正教育、立ち直り支援など)しかないのが現状です。

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