ひみつ基地

2018年6月号 vol.64

南アフリカのキャンプに参加する唯一の日本人女性(中編)~世界のキャンプを見るために国分寺から飛び立つ

2018年07月10日 16:13 by shoko_kawahara

南アフリカで行われているキャンプにはじめて日本人として参加し、その後、アメリカやカナダなど各地のキャンプを巡り、子どもたちのために働く女性がいます。彼女の名前は、小松はるなさん。子どもの頃から大好きだったキャンプに魅せられ、社会人として企業で働きながらも遠く離れたアフリカの地へ。そして、アメリカやカナダへと飽くなき挑戦を続けています。

今回、全3回に渡って、キャンプを通じて子どもたちの教育活動に取り組む小松さんのチャレンジについてインタビューしました。中編では、前編(子どもが生きるために必要な知識や力を身につける場)に引き続き、南アフリカのキャンプの話、海外のキャンプに行くことになった経緯をお伺いしました。

(キャンプ最終日に行われるカーニバルの様子)

Camp Sizananiを支えるスタッフとは?

川原(記者)
Camp Sizananiのスタッフは、どういった人たちなのでしょうか。

小松さん
1回のキャンプで、キャンプリーダーとなるスタッフは30名ほどいるのですが、ほとんどが現地の南アフリカの人です。私のように海外から参加するスタッフは数名で、前回行った時はアメリカから2名とウガンダから2名、私の5名でした。

職員として働いているのは2、3名で、あとはキャンプ期間だけのスタッフです。ただ、日本と違うのは、そういったキャンプ期間だけのスタッフにもお給料が出ることですね。海外から参加する私のようなスタッフは、募金も兼ねて参加費1,000ドルを払いますが、現地スタッフは事前研修も含めた2週間ほどで、1.5万くらいもらえるようです。もちろん、食事も宿泊もついています。


(一緒に働くVolchelli〔ボルチェリ・日本でいうキャンプリーダー〕と一緒に。トレーニングを通して仲も深まり、子どもたちを迎える準備は万端)

川原(記者)
短期的な雇用にもつながっているんですね。現地のスタッフは、普段は何をしている人たちなのですか?

小松さん
現地の子ども関係のNGOで働いている人は多いですね。現地NGOはSizananiのスタッフトレーニングの質の高さに賛同してSizananiにスタッフを送り込みます。お給料も出るので、現地NGOの支援にもつながっています。ただ、ドライバーとか一般の仕事についている人もいます。

川原(記者)
現地NGOスタッフの研修・育成の場としても活用されているんですね。現地スタッフは毎回参加しているような人たちが多いのでしょうか。

小松さん
いえ、1回目は研修もあるから勉強のためにおいで、という形で広く募集されますが、2回目以降は厳しくなるようです。半分が経験者、半分が初めてのスタッフ、という感じでしょうか。1回目のパフォーマンスを見て、2回目以降もスタッフとして呼ばれるかどうかが決まります。


(Camp Sizananiでのスタッフ研修の様子)

国分寺から南アフリカへ

川原(記者)
もう少し個人的な背景も聞ければと思いますが、どういう経緯でこのキャンプに参加することになったのでしょうか?

小松さん
小学生の頃からこういったキャンプに参加していて、キャンプが好きだったんです。部活などで参加できない時期もありましたが、社会人になってもキャンプリーダーの活動を続けていました。家が国分寺にあるのですが、国分寺市では校庭キャンプと言って小学校の校内にテントを張ってキャンプをする、というのがあって。10年前くらいから始まったのですが、社会人になってからはその活動を中心に行っていました。

川原(記者)
国分寺ではそんな活動があるんですね。校庭にテントを張れるなんて、とても楽しそうです。

小松さん
学校ごとに保護者を中心に運営をしているのですが、レクリエーションや歌の指導ができる大人は限られているので、声がかかることも多くて。仕事の休みを取って夕方から小学校に行って、みんなとカレー食べて歌って、子どもたちが眠る頃に帰宅して翌朝出社みたいなことがよくありました(笑)


(国分寺の校庭キャンプの様子)

川原(記者)
確かに、キャンプリーダーとして子どもたちを指導するとなると、できる人は限られるでしょうね。そこからどうして南アフリカに行くことになったんですか?

小松さん
社会人1年目の終わり頃に、日本キャンプ協会のイベントに参加したんですけど、同じテーブルに国際キャンプ連盟の創設メンバーだったという女性がいたんです。その方が、Camp Sizananiの創設者であるフィルと友人で、紹介していただきました。大学2年生のときにAIESEC(アイセック)※の海外インターンシップでナイジェリアに行ったことがあったので、その話をしたら、南アフリカでキャンプをしている友人がいて、日本人は行ったことがないから行ってみたら、と。

※AIESEC(アイセック):世界126の国と地域で海外インターンシッププログラムの運営をする世界最大級の学生組織。小松さんは学生時代、運営メンバーとしても活動していた。

川原(記者)
元々アフリカとは縁があったんですね。ただ、その出会いがCamp Sizananiにまでつながったのは、小松さんの行動力と経験があったからこそでしょうね。

小松さん
海外インターンシップでナイジェリアに行ったときは、HIV/AIDSと共に生きている女性の意識啓発やユースのリーダーシップ育成に働きかけている現地NGOでボランティアをしてました。海外に自分1人で行くのもはじめてだった私は、聞きなれない英語のアクセントや初めての食事、日本とは勝手の違う電気や水事情にカルチャーショックを受けました。しかしそんな私を、現地の職場の同僚やホームステイ先のご近所さんたちは豪快に笑いながら私を仲間にいれてくれたんです。なので、いつかナイジェリアに恩返しをしたい、という気持ちもありました。

川原(記者)
初めて1人で行った海外がナイジェリアというのも、またすごいです。紹介されて、すぐに南アフリカに行くことにしたのでしょうか?

小松さん
いえ。でも、どんどん行きたい気持ちが高まって、実際につないでもらったのが3年前です。仕事は休みをもらって参加しました。

川原(記者)
当時はまだ社会人をしていたんですね!これまでのお話しを聞いていると、日本の企業で普通に働いている様子があまり想像できないです(笑)

小松さん
働いていましたよ(笑)本当は辞めるつもりで上司に話したんです。そうしたら「どれくらいの期間なんだ?1年?」と言われたので、「2週間です」と答えたら、「2週間のために仕事を辞めるのか。休んでいいから仕事は続けてみないか」と言ってもらえて。

川原(記者)
良い上司ですね。実際に参加してみてどうでしたか?

小松さん
実は、国分寺以外のキャンプに参加するのが初めてだったんです。英語もままならず、知っているゲームも歌も日本のものばかりで、もっとできることはあったんじゃないかと思う部分も大きかったです。ただ、もっと世界のキャンプを見てみたいと思いました。

>>前編:子どもが生きるために必要な知識や力を身につける場
>>後編:色んな子がリーダーになれる!キャンプが育む子どもたちの自尊心

教育・研修プランナー 川原祥子

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