ひみつ基地

2018年7月号 vol.65

南アフリカのキャンプに参加する唯一の日本人女性(後編)~色んな子がリーダーになれる!キャンプが育む子どもたちの自尊心

2018年07月10日 11:50 by shoko_kawahara

南アフリカで行われているキャンプにはじめて日本人として参加し、その後、アメリカやカナダなど各地のキャンプを巡り、子どもたちのために働く女性がいます。彼女の名前は、小松はるなさん。子どもの頃から大好きだったキャンプに魅せられ、社会人として企業で働きながらも遠く離れたアフリカの地へ。そして、アメリカやカナダへと飽くなき挑戦を続けています。

今回、全3回(前編中編)に渡って、キャンプを通じて子どもたちの教育活動に取り組む小松さんのチャレンジについてインタビューしました。後編では、現在のカナダでの状況、アメリカのキャンプの様子、教育機会としてのキャンプの価値についてお伺いしました。


(Camp Sizananiには今年、2回目の参加。その際、3年前に一緒に働いた仲間が、キャンプの後に会いにきてくれた)

仕事を辞めてアメリカやカナダのキャンプへ

川原(記者)
今は仕事は辞めて、カナダにいるんですよね。

小松さん
カナダにはワーキングホリデーで去年の9月頃からいます。本当はキャンプで働きたかったのですが、もうサマーキャンプのシーズンは過ぎてしまっていたので、今はバイトをしながらトロント市内にある公園のネイチャーセンターのキッズクラブのボランティアをしたり、キャンプで教えられることを増やすためにインプロ(即興演劇)のクラスに通ったり、できることをやっています。カナダに来る前はアメリカのキャンプで働いていました。去年の6月中旬~8月の中旬頃ですね。


(アメリカのサマーキャンプは五大湖のひとつ、ヒューロン湖に面していました。ヒューロン湖でカヤックの様子)

川原(記者)
カナダの前はアメリカだったんですね。アメリカのキャンプではどんなことをしていたのでしょうか。

小松さん
前半はキャンプ場のスタッフとして、団体で来る人たちの受け入れをしていました。キャンプシーズンを前に施設の清掃や整備をしたり、ツリークライミングなど、専門スタッフが必要な部分だけサポートで入ったり。後半はキャンプリーダーとしてキャンプに参加しました。

川原(記者)
日本ではキャンプと言うと、家族や友人同士でキャンプ場に行って、テントを張ってという余暇の一種としてイメージされがちです。しかし、ここで言うキャンプは、あくまで子どもたちの体験活動の場、教育プログラムとしてのキャンプですよね。アメリカでは、そういったキャンプが日常的に行われているのでしょうか。

小松さん
そうですね。アメリカの子どもたちにとっては、夏休みにキャンプに参加することは、当たり前のことです。宿泊型のものも数多くありますし、毎日のようにデイプログラム(日帰りプログラム)が行われていて、そこに家から通ってくる子もいます。内容も男の子向け、女の子向け、自閉症の子向けといった対象別のものや、音楽、演劇、乗馬などのテーマ別のものなど充実しています。

川原(記者)
アメリカのキャンプの場合は、参加費がかかるのでしょうか。

小松さん
基本的には参加費がかかりますが、ハンディキャンプのある子向けのものなどだと寄付だったりすることもあるようです。参加費だけで運営されている場合、1週間で7,8万くらいでしょうか。私が働いていたキャンプでは、キャンパーシップというキャンプの奨学金みたいなものがあって、支援が必要な子はキャンパーシップを使って参加できるようになっていました。


(アメリカサマーキャンプのツリークライミングの様子)

川原(記者)
それだけ浸透しているアメリカのキャンプですが、そこで課題になっていることは何かありますか?

小松さん
LGBTへの対応については議論されていましたね。自己認識している性をジェンダー、身体的な性をセックスと言いますが、宿泊を伴う場合どうするか、というのはまだ方針が決まっていません。インターネットで申込を受け付けるので、どう質問をするのが良いのか、というのも悩ましいところです。デイキャンプの場合はジェンダーで分けられるので、LGBTを支援する団体の方も、今はデイキャンプへの参加を勧めている、と聞きました。

川原(記者)
アメリカでも、さすがにそこはまだ整っていないんですね。色んなキャンプに触れて、改めてキャンプの魅力はどこにあると思いますか?

小松さん
どんな人ともフラットに仲間になれることですね。私自身も子どもの頃に参加したキャンプで、中学生のお姉さんやキャンプリーダーのスタッフと仲良くなれたことはすごく印象に残っています。あとは、正解がない、というのも魅力です。とりあえずやってみよう、とチャレンジできるのがキャンプだと思います。非日常的な環境だからこそ、そのチャレンジができるのかな、と。

色んな子がリーダーになれる機会をつくろう!

川原(記者)
スタッフとして、子どもに関わるときに心がけていることはありますか?

小松さん
とにかく、「私が楽しまないと周りが楽しめない!」ということです。あと、Camp Sizananiのスタッフの中でも共通して大事にしているのが、色んな子がリーダーになれる機会をつくろうということです。


(Camp Sizananiのリーダーシップやチームワークを主に教えるアクティビティ)

川原(記者)
新しいことに挑戦をする、大人と一緒に全力で楽しむ、誰もがリーダーになる、などキャンプには日常生活では得られない様々な成長の機会があります。一方で、日本ではそういった教育機会としてのキャンプの価値が知られていないですよね。

小松さん
そうなんです!友達に「キャンプ行く」って言うと、「バカンス?楽しそうだね!」みたいな反応で。キャンプに限らず、野外教育や自然教育といったことは、カナダでは学校でも当たり前に取り入れられているので、日本でももっと広がればいいのに、と思います。」

川原(記者)
私も本当にそう思います。それでは、今後の抱負を教えて下さい!

小松さん
悩んでいる最中ですが、なにかしらの形でアフリカのキャンプとは関わり続けたいと思っています。私自身、キャンプを通して世界が広がりましたし、キャンプを通じて国籍も年齢も超えて多くの人とフラットな関係を築くことができました。そうしたことを周りの人に伝えていきたいです。

最後に、Camp Sizananiに参加した、ある子どもの感想文を紹介させてください。

”We always have people who are low self-esteemed but we have to encourage each other to be high self-esteemed. So far I am enjoying myself and my low self-esteem is coming to an end!"

(自尊心が低い人っていつもいるものだけど、私たちは励ましあってお互いの自尊心を高めてかなければいけないの。私はこれまでのキャンプを楽しんでいるし、自分を嫌いじゃなくなってきているわ。)

>>前編:子どもが生きるために必要な知識や力を身につける場
>>中編:世界のキャンプを見るために国分寺から飛び立つ

教育・研修プランナー 川原祥子

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