ひみつ基地

2019年8月号 vol.78

つながりあって母子家庭の生きにくさの解決を目指す!~シングルマザーサポート団体全国協議会がキックオフ!

2019年08月13日 16:00 by akaishi

2019年7月7日に東京都内で、シングルマザーサポート団体全国協議会がキックオフし、北海道から沖縄までの全国20団体が参加しました(その後も増加し、現在は21団体)。本協議会では、全国のシングルマザーの様々な声を集め、母子家庭の現状を発信し、税制改正などを国に要望していこうとしています。


(全国協議会の代表に赤石千衣子・本記事著者が就任しました)

全国協議会を設立した理由

日本のひとり親家庭の貧困率は50%を超える状況が長期にわたって続いています。子どもの貧困対策推進法が2013年に成立し、子どもの貧困対策が進みました。社会もこの問題を認識し始めている結果、特に困難が重複するひとり親家庭への支援施策にも進展が見られることは歓迎すべきことです。

しかし、ひとり親家庭の現状は依然として厳しい状況です。また、離婚したのは自己責任であるという議論は根強く、子どもへの支援は広がっても、ほとんどの子どもが生きている世帯、親も含めた世帯の支援という発想は驚くほど弱いのです。

届き難いシングルマザーの声

状況が多様かつ変化している現在の離婚や未婚・非婚、別居中のシングルマザーと子どもたちの声が地域社会に、そして国や自治体、企業・団体に、届きにくい状況が依然としてあります。驚くほどの旧態依然たる状況が各地の市役所などでも続いていますが、シングルマザーは声をあげにくく、放置されています。

わたしたち支援団体は、この数年、各地の誰にも聞いてもらえない声を聴いてきました。

「来月子どもが生まれるんです」というメール。

気が付いて、返信し、10代の女性に出産前の準備を手伝ったり、お話を聞いたり、ミルクを送ったりしました。

「もう不安で仕方ないんです」「もうあした食べるものがないんです」という声を聞き、お米や食品を送りました。

どこにもこの人はつながっていない―。

「ただひとつ私たちだけを頼ってきたんだ」と分かったときの怖さ、責任の重さ。小さな命とともにいるママをどう支えるのかと迷ってきました。


(全国協議会の設立集会の様子)

支援団体のつながりを広げる

そうしたシングルマザーをサポートする団体は地域に点在しており、つながれていない状況があります。また比較的小さな団体も多く、その運営基盤は万全とは言えず、資金も人も協力者も不足している一方、その団体を頼ってくるシングルマザーと子どもたちは多く、支援にあたる人々はかけずりまわっている状況です。

そこで、シングルマザーをサポートする団体が連携し協力し、相互に情報交換をし、支援の質を高め、調査研究・政策提言・等を行うために、さらにひとり親に関わるさまざまな企業、団体とつながり、支援をさらに広げていくこととしました。

団体の在り方は多様で、当事者中心に政策提言をしてきた団体、また当事者の近くで応援してきた団体、子ども食堂などの地域のとりくみをしている団体、不登校の親のグループからの発展などがあります。

シングルマザーと子どもたち自身に力がある

その共通の理念は、シングルマザー自身の力を尊重できるように、また社会にある支援とつながる力をもてるように、決してがんばることのみの応援ではなく、時には羽を休め、社会にある支援を有効に活用し、その人にあった道をみつける手助けができるよう、社会の中で親子が心豊かに暮らせる場所をみつけられるようにすることです。

ひとり親になる理由は様々です。離婚、未婚による出産、死別、別居等々があるでしょう。わたしたちは、DV、借金、不和、子育ての孤立など、様々な要因から、ひとり親になることの方が、子どもとともにより幸せに生きられると決意した人たちを応援しています。

わたしたちは、離婚を勧める団体ではありません。しかしやむをえず離婚や未婚・非婚の出産、死別などでシングルマザーと子どもたちを支えていきます。親が元気になることで子どもたちもまた元気になり、また子どもたちを応援することで親が元気になる、そんなサポートをしていこうと考えています。


(全国協議会の設立集会の様子)

100人の会場にあふれた参加者

さて、当日のキックオフミーティングは、100人弱の会場から参加者があふれ、まさに熱気ある会となりました。各党の国会議員のみなさんからのメッセージも励まされました。企業の方も参加していました。協力団体もたくさんが参加してくれました。

各団体が自分たちの団体の状況を発表し(パワーポイントがうまく作動せず、会場から助っ人が現れ無事に進行するなどした)、当事者の発言は心に染み入るもでした。また報道陣も多数駆けつけました。

このキックオフミーティングでは政策提言を含む行動計画と、「シングルマザーわたしたちの生きる宣言」が発表されました。「1.わたしたちは、シングルマザー家族がひとつの家族の形だと考え、誇りをもって生きていきます」から始まる宣言を読み上げました。

この宣言は各地のシングルマザーが読むだけで元気になってもらうようにつくりました。読むサプリになって欲しいです。

シングルマザーサポート団体全国協議会:シングルマザー わたしたちの生きる宣言

子どもたちも手伝って

この宣言をメンバーが協力団体も含めてみんなで記念の写真を撮りました。何人も子どもたちがこのイベントを手伝ってくれましたが、記念撮影のときに、声をかけてくれたのは、静岡からお母さんと来た小学生の男の子です。「1足す1は?」と彼が声かけしてくれて参加者全員が「にー!」といって撮影した写真がこちらです。

今後は寡婦控除税制の改正や、児童扶養手当の充実、養育費の制度の周知など行動計画を実現していくべく、秋の臨時国会では院内集会を企画しています。(ひとり親家庭の親と子の政策提言と行動計画

たぶん、始めた私たち自身が反響に驚いています。でも、間違っていませんでした。なぜなら、このキックオフ・ミーティングの直後に、「この団体に参加したい!」という声が山口県や東北からも来たからです。また地方の団体に光が当たり始めています。待たれていたこの全国協議会の使命をしっかりと果たしていきたいです。

赤石千衣子NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ 理事長)

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参加者募集:9/21(土)・9/22(日) ひとり親サポーター養成講座

 
日本のひとり親家庭の相対的貧困率は先進国で最悪となっており、ひとり親と子どもたちは様々な生きづらさを抱えています。進みつつあるひとり親施策のもと行政や民間での支援者がひとり親家庭の状況を理解し、有効な支援を行い、また連携していくために、この養成講座を開催します。ぜひご参加ください。

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