Eduwell Journal

2020年8月号 vol.90

コロナの影響で中止になった海外留学の再開の見通しは?―コロナ禍の海外留学で注意すべき点と今できること

2020年09月03日 19:21 by Miwa_Hosogoe

2020年、新型コロナウイルス(以下、コロナ)が全世界で猛威を奮っています。

ITの進化に伴い、国際間のビジネス、文化・教育での交流も増え、国境間の距離も縮まりつつあった時に起こった突然の悲劇です。

2020年8月3日時点で感染者数が1800万人、死者数が68.9万人とは歴史上に残る脅威となりました。

国際的に活躍できる人材の育成のために、この10年間で世界的にも海外留学の産業は目覚ましい成長を遂げてきましたが、今回のコロナにより世界規模で大きな大打撃を受けました。

今回の記事では、コロナに伴う海外留学産業における課題と今後の方向性、渡航できるようになった際に留意すること、そして、留学が難しい現状においてできること、などについてお話したいと思います。


(2020年8月のカナダのサイエンスワールド近辺の様子。通常は多くの人が訪れる観光スポットですが現在は静かです:ウエストコースト・インターナショナル)

現在の海外留学産業への影響とは

海外留学先として長年一番人気を築いてきたアメリカへの留学が、現在は不可能となっています。コロナの感染者が増大しているために、学生ビザが発行されないのです。

先日、有名な語学学校のトップレベルの役員が出席する世界規模のZoom会議が行われました。世界各国に語学学校を経営している企業が主催したものです。留学問題について今後どう取り組むべきか、オンラインクラスの需要も踏まえ多くの関係者が意見を交わしました。

新型コロナが落ち着き、今後、留学可能国として成長すると考えられている国は、ニュージーランドがトップ、オーストラリアとカナダが同等、追ってイギリス、アイルランドになると聞きました。感染者数と、行政の取り組みを踏まえてとったアンケートの結果です。

navitas insight:COVID-19 is changing the fortunes of international education destinations

少しずつ海外留学を再開する国が増えていく見通し

海外留学はそれなりに費用がかかるので、各国の経済が落ちこんでいくと、留学できる学生の人数は減ると考えられます。

また、各国の入国制限において留学がしづらい現状も踏まえると、留学生の絶対数は減っていくと考えられるでしょう。これは、海外留学産業にとって、長期的な課題となります。

しかしながら、現在ヨーロッパやカナダは感染者数も安定してきています。今年の夏にイタリア人の留学生がアイルランドに留学に行くプログラムが再開されているのも事実です。

カナダにおいても、3月18日以前に発行された学生ビザを持っている学生は、入国制限があってもカナダへの入国が可能とし、留学を継続しています。今後、3月18日以降に申請した学生ビザも発行される見込みです。

そういった点を踏まえると、コロナの感染状況を踏まえながらではありますが、海外留学プログラムを再開する国が少しずつ増えていく見通しです。


(2020年8月のカナダのバンクーバーダウンタウンの様子:ウエストコースト・インターナショナル)

コロナ禍における海外留学の留意点

今後、海外留学をする上で大事なことは、渡航先の医療制度や保険の制度を確認しておくことです。

コロナは8割程度の方は自宅療養でも回復可能となりますが、2割程度の方はかなり重度になることも多く、集中治療室での治療を受ける場合はかなりの医療費がかかることがあります。

そういった場合に、加入している保険がカバーしてくれるのか事前にしっかり確認することが大切です。そして、国によっても対応の仕方が違いますので、万が一コロナに感染した場合に、どのような手続きが必要で、どのように医療機関にかかればよいのか、事前に確認しておくことが大切です。

最も大切になることは、個人の健康管理です。ぜひ、マスクの着用、除菌、うがい、手洗いなど個人で出来る安全対策を継続して行って頂きたいです。

今年、海外留学を諦めざるを得なかった方へ

渡航先の入国規制に伴い、海外留学が不可能となってしまった学生さんが多いと聞いています。本当に残念なことだと感じます。

ただ、海外に興味を持ったという勇気は本当に素晴らしいことです。是非誇りに思ってください。また、以前のように海外留学できる日もきっと来ると思いますので、その時まで今の気持ちを大切にし、ぜひ英語の勉強に日本でもチャレンジしていただけたらと思います。

英語の勉強に関しては、留学せずとも日本でも取り組むことができます。勉強方法の一つに、オンライン授業があります。新型コロナウイルスの影響で一番発展したのは、オンライン授業だと思います。

世界中から参加できるオンライン語学学校を活用

コロナ禍において革命的に進化したのが、オンライン授業ではないでしょうか?

世界で一番使われているのがマイクロソフトのTeamsやZoomといったプラットフォームだと思います。

近年ではこういった最先端の技術によって、自宅からでも画面越しに教師や生徒と会話することができ、教育の質を落とさず自宅からでも勉強が継続出来るようになりました。

ある語学学校は、世界の学生が参加できるサマーキャンプをZoomで実施しています。朝から晩まで色々なクラスが開講されていて、参加する生徒はどのクラスを受けてもいいことになっており、画期的な取り組みです。

留学前に、英語力を身に付けることのメリット

弊社でも、4月から渡航が難しかった方々に対して、ある取り組みを行ないました。カナダで一番英語を教えるのが上手な先生と連携して高校準備のプログラムを作成し、Zoomを利用した形で、日本に滞在している留学予定の学生さん向けに開講しました。

かなり好評だったこともあり、こちらは9月からら来年3月まで継続的に行うことが決定しました。日本の土曜日と日曜日を利用し、今後は高校と大学・社会人留学準備の2コースを提供していきます。

フィリピンの語学学校とのオンラインクラスも始まりました。こちらはとにかく費用が安価で、先生も教育学部で勉強している大学生が担当したりしています。実際に弊社のスタッフが授業を受けてみましたが、英語初心者から中級者にはぴったりだ、とのことでした。

実際に留学する前に、英語力をある程度身に付けておくことで、英語習得にかかる費用も削減できますし、留学してすぐに先生や世界中の友達ともコミュニケーションを楽しめますので、一石二鳥です。


(2020年8月のカナダのバンクーバーダウンタウンの様子:ウエストコースト・インターナショナル)

コロナ禍におけるカナダの取り組みとは

日本の教育者の皆様のお役に立てたらと思い、カナダではどういった取り組みをしているのかご紹介します。

カナダにおける留学産業における市場は220億ドル(日本円で2兆円以上)。2019年カナダは175カ国から64万人の留学生を受け入れました。

カナダは国土面積に比べ人口も少ないので、移民の受け入れも積極的に行っています。カナダの教育機関を卒業すると、年齢に関係なく仕事ができる就労ビザを取得できる制度も作られました。

コロナの影響で留学産業に支障が出ていることはカナダの経済成長にも影響すると言えます。そこでカナダでは、文科省、移民局、行政が協力して色々な留学生を支援する取り組みが行われました。

まずカナダのカレッジ、大学の授業はほとんどオンラインへ移行し、どうしても実習が必要なクラスのみ通学になりました。この施策により、多くの留学生が母国からでも通常の授業をオンラインで受講出来るようになりました。

時差の問題を回避するため、授業は録画されてあり、録画された授業を個人のペースで勉強し、課題を提出する方法を取っています。リアルタイムのクラスにも時差はありますが、参加することはできます。

義務教育に関しては、カナダの西海岸に位置するブリティッシュコロンビア州では、通常の通学による授業再開を文科省が発表しました。

9月からの対面での授業再開にあたっては、政府から「専門家、政府、地域、父兄、教育関係者など、本当に色々な方々が協力して計画書を作りました」と、尊敬の念を持って発表されていました。

ブリティッシュコロンビア州の対面での授業再開するための作戦は、「Learning Group」といって、接触する学生さんの人数をグループに分けることで問題を最小限に抑えて、その上で教育の質も維持しようということです。

高校は1グループ120人。この中でもっと細かいグループに分けて勉強していく形をとるようです。例えば、1つの高校に合計1,200人いるとしたら、10のグループに分けて安全管理していくと、120人が接触する可能性のある人数となります。

この取り組みが成功するのかどうか、始まってみないと分かりませんが、上手くいくことを心から願っています。


(2020年8月のカナダのバンクーバーダウンタウンの様子:ウエストコースト・インターナショナル)

「With コロナ」の時代で、大切なこと

日本でも、日々コロナの感染者数が発表され、医療従事者のストレスは計り知れないレベルだと思いますし、飲食店や観光産業への大ダメージは、今後長期的に社会全体が向き合っていかないといけない、日本だけでなく世界規模の社会課題であると考えます。

カナダ留学をすると必ず学ぶ言葉に、「Collaborative」とか「Collaboration」という単語が出てきます。日本語では、「協力的に」とか「協力」という意味です。カナダではとにかく、この単語をよく使います。

これらの言葉が浸透していることにより、物事がスムーズにいかなくても感情的に相手を責めることは少なく、皆が状況を把握して冷静に対応します。よって問題解決に強く、精神的に病んでしまう人も少ないと感じています。

まだまだ不安定な状況が続く中、一番大切なのは、「協力する心」そして「冷静に今できることに取り組む姿勢」だと思います。

海外留学が自由にできるようになる日は、必ず来ると思います。その時に英語がある程度話せるようになっていたら、海外の友達も作りやすく、勉強も楽しくなり、より充実した留学生活が送れるようになると思います。

人間は過去を振り返れば後悔をし、未来を考えたら不安になると、私が教わっているヨガの先生がおっしゃっていました。

こういった世界規模の問題にぶつかっている今だからこそ、「今できること」に集中して共に乗りきり、いい社会作りに貢献していくことができたらと思います。

Author:細越美和
Westcoast International Education Consulting in Canada Ltd. 代表。2004年にカナダ・バンクーバーにカナダ留学を支援するウエストコーストインターナショナルを設立。質の高い英語教育、多文化理解、才能教育に力を入れ、これまでに4,000人以上の留学生をサポート。15年間に渡り、発達障害や視覚障害を持つ留学生もカナダのインクルーシブな教育環境で支援経験あり。
さらに、カナダの教育システムの研究・広報活動として、カナダ州立教育機関の正式な日本窓口としてカナダと日本の教育機関の提携業務や日本の教育者向けのカナダ教育機関見学ツアー、カナダ大使館フェアでの州立教育機関のサポート等を行っている。

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