ひみつ基地

2013年11月号 vol.9

日米の文化の違いから子どもの育ちを考える-メディアが与える情報とどう向き合うべきか?

2017年02月08日 18:16 by Ryoji_Fujikashi

筆者の専門は「体験教育」。その中でも、アメリカで生まれたプロジェクト・アドベンチャーという野外教育の派生で生まれた教育手法の理念を自身の教育観の基盤としています。そんな筆者が、2年前から幼児教育に携わるようになり、様々なご縁から、現在はカリフォルニア州の日本人幼稚園で保育に携わっています。渡米して2ヶ月が経ちましたが、ここでの体験から自分自身が「子どもの育ち」について思うことを、みなさんと共有したいと思い文章を書かせていただきました。根拠のない雑多なひとり言かもしれませんが、ぜひみなさんの「考える」きっかけになればと願っています。


(Photo Credit: Kola Yuki via Photo Pin)

◆ 子どもが持つ本来の遊びの本能を活かすことの重要性

先日コロラドで開かれた体験教育学会(Association for Experiential Education)のプレゼンテーションで、”Play: How it Shapes the Brain, Opens the Imagination, and Invigorates the Soul.”(遊び:脳をどのように形作り、想像力を開き、心を元気にさせるか)という著書が度々引用されていました。その著書の中に、「遊び」が生物学的に動物の生まれ持った本能であるという逸話があります。カナディアンエスキモーの橇を引く犬が、空腹な大きな白クマが現れたときに、唸る代わりにしっぽを振って遊びに誘った。すると白クマがそれに応じて取っ組み合いごっこをしたという出来事。翌日も、その翌日も、白クマは同じ犬のところに現れ、1週間に渡り毎晩じゃれ合って遊んだという話です。

人間も本来、目的がなく、自発的な行為であり、時間を忘れ、継続する欲求を持つ「遊び」の本能を持っています。その遊びの中で、人間も一人で遊ぶだけでなく、他者と関わるということを本能として持ち合わせており、子ども同士が、気がつけばじゃれ合っている姿は自然な姿だそうです。また、幼児教育の現場にいて思うことは、「人生で大切なことは、すべて幼稚園の砂場で学んだ」ロバート・フルガム著、という著書があるように、子どもたちは「遊び」を通して、社会に出る準備をしています。極端な言い方かもしれませんが、子どもたちは日々の遊びを通して、「社会人基礎力」:前に踏み出す力、考え抜く力、チームで働く力(経済産業省:http://www.meti.go.jp/policy/kisoryoku/)の土台を学んでいると筆者は信じています。もちろん、教育としての大人の意図的な介入は、子どもへの刺激であり、遊びや体験の質を向上させるものです。しかし、子どもが持つ本来の遊びの本能を活かすことの重要性を、大人は忘れてはいけないと思います。

◆ 暴力表現の規制がとても厳しいアメリカの子ども向け番組

さて、ベイエリアには日本人が約1万人おり、日本のテレビ番組も、食べ物も何でも手に入ります。そんな環境で育った、とある日本人の両親を持つ4歳の男の子。3歳まで、ほとんどテレビを見ないで過ごしてきたとのこと。最近テレビを見ていて、ジャイアンがのび太に意地悪をするシーンや、アンパンマンがバイキンマンをやつけるシーンに「かわいそう」と言って涙を流したのだとか。お母様にお話を伺ってみると、アメリカの子ども向け番組は、暴力表現の規制がとても厳しいので、平和的なものが多い反面、日本のアニメは暴力的なものも多いのではないか、とのことでした。確かにアメリカの子ども向け番組Cartoon Networkの中に、ドラゴンボールのように、血を流して戦う番組はありません。全体的によく規制されているという印象です。しかし、機関車トーマスは周りから意地悪をされるし、トムとジェリーではかなり残酷な方法でネズミがネコをやつけるし、暴力的な一面もあると思います。
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