ひみつ基地

2014年1月号 vol.11

子どもが夢を叶えるためのコミュニケーション-超一流スポーツ選手が子どもの頃に考えていたこと

2017年09月22日 15:57 by sari_yamamura

昨年12月から、サッカーの本田圭祐選手のACミラン移籍がニュースを騒がせています。このニュースと一緒に、いくつかのテレビ番組で、本田圭祐選手の小学校時代の作文が紹介されていました。ご覧になっていない方のために下記にご紹介しますね。


ぼくは大人になったら世界一のサッカー選手になりたいと言うよりなる。世界一になるには、世界一練習しないとダメだ。だから今、ぼくはガンバっている。今はヘタだけれどガンバって必ず世界一になる。そして世界一になったら、大金持ちになって親孝行する。

Wカップで有名になって、ぼくは外国から呼ばれてヨーロッパのセリアAに入団します。そしてレギュラーになって10番で活躍します。一年間の給料は40億円はほしいです。プーマとけいやくしてスパイクやジャンバーを作り、世界中の人がこのぼくが作ったスパイクやジャンバーを買って行ってくれることを夢みている。

一方、世界中のみんなが注目し、世界で一番さわぐ4年に一度のWカップに出場します。セリエAで活躍しているぼくは、日本に帰り、ミーティングをし、10番をもらってチームの看板です。ブラジルと決勝戦をし、2対1でブラジルを破りたいです。この得点も兄と力を合わせ、世界の強ごうをうまくかわし、いいパスをだし合って得点を入れることが僕の夢です。


この作文を読んで、「ヨーロッパのセリアAに入団」という、小学生の頃の夢が叶ったことに感動した方は多いのではないのでしょうか?今回は、夢を叶えた人の子どもの頃の作文を参考にしながら、大人がどう子どもの夢の応を援したらよいのかを、みなさんと一緒に考えていきたいと思います。

子どもの夢を具体的に聞く

先に紹介した、本田圭祐選手の作文。ご本人の生まれながらの素質もあったでしょうが、小学生の子どもにとって周りの大人の影響を全く受けないのは不可能です。「やはり一流は子どもの頃から違うな。」で思考を止めず、周りの大人が普段どんなコミュニケーションをとっていたか想像してみましょう。再度、本田選手の作文に戻り、考え付くコミュニケーションをいくつか挙げてみて下さい。

いくつか挙がりましたか?

・「なりたい」という願望じゃなく、絶対「なる」という気持ちが大事だと教える。

・下手だったり、上手くいっていないことも、努力することで出来るようになると教える。

・サッカー選手が夢と言っていたら、どんなサッカー選手になりたいかを聞く。

・なんのためにサッカー選手になりたいか聞く。

などなど、みなさんが今まで子どもと接してきた経験や、自身が持つ成功体験・失敗体験をヒントに多くの答えが出たことと思います。

では、私からは、コーチングのスキルの1つである「チャンクダウンする質問」というものを紹介します。

チャンクダウンとは、

チャンク=かたまり

ダウン=ほぐす

かたまりをほぐし具体的にすることです。

本田選手の作文には「レギュラーになって10番で活躍」や「ブラジルと決勝戦をし、2対1でブラジルを破りたい」など、かなり具体的な表現が多々あ ります。ただ、サッカー選手になりたいと言っている子どもより、どんなサッカー選手かイメージ出来る子どもの方が、モチベーションを保て、夢に向かって努 力し続けられます。

チャンクダウンのためには、5W1H:「いつ?」「どこで?」「だれが?」「なにを?」「だれに?」「どのように?」という質問を使うと効果的です。

例えば、

・いつのワールドカップに出たい?

・どのチームでプレーしたい?

・今憧れているサッカー選手は誰?

・サッカー選手になったら誰が一番喜んでくれる?

・最初のヒーローインタビューで何言おう?

といった質問で、子ども達の漠然とした夢をワクワクした夢に変えることが出来ます。もしかしたら、本田選手も、「サッカー選手になったらいくら稼ぎ たい?」「サッカー選手になって1番したいことは何?」という会話を周りの大人たちとしていたのかもしれません。(想像ですが。)

聞いた夢に対して行動を促す

ここでもう1人、イチロー選手の小学校の頃の作文を見てみたいと思います。


僕の夢は一流のプロ野球選手になることです。そのためには、中学、高校と全国大会にでて活躍しなければなりません。活躍できるようになるためには練習が必 要です。僕は3才の時から練習を始めています。3才から7才までは半年くらいやっていましたが、3年生の時から今までは、365日中360日は、激しい練 習をしています。

だから1週間中で友達と遊べる時間は5~6時間です。そんなに練習をやっているのだから、必ずプロ野球選手になれると思います。そして中学、高校と活躍し て高校を卒業してからプロ野球選手になれると思います。そしてその球団は、中日ドラゴンズか、西武ライオンズです。ドラフト入団で、契約金は、1億円以上が目標です。僕が自信のあるのが投手か打撃です。

去年の夏、僕たちは全国大会にいきました。そして、ほとんどの投手を見てきましたが、自分が大会ナンバーワン選手と確信でき、打撃では県大会4試合のうちホームランを3本打ちました。そして、全体を通した打率は、5割8分3厘でした。このように自分でも納得のいく成績でした。そして僕たちは1年間負け知ら ずで野球ができました。だから、この調子でこれからも頑張ります。

そして、僕が一流選手になって試合に出られるようになったら、お世話になった人に招待状を配って応援してもらうのも夢の一つです。とにかく一番大きな夢はプロ野球選手になることです。


いくつか挙がりましたか?本田選手の作文の時と同じようなことだけではなく、新たな視点も出てきたのではないでしょうか?

ここで私が1つ視点を紹介するとしたら、「夢」と「現状」を踏まえての「行動計画」の重要性です。イチロー選手は、

夢:契約金一億円のプロ野球選手

現状:全国大会で5割8分3厘の打率で無敗の結果

行動計画:今まで同様365日中360日の激しい練習をする

と、夢と現状を踏まえて今後の行動計画を考えています。

現状通り頑張れば夢が叶うだろうという子どもばかりではないですので、行動計画では、もうちょっと練習時間を増やすとか、新しいことに挑戦してみるなど、夢と現状のギャップを埋めるための行動計画を一緒に立てる必要があります。

チャンクダウンと夢・現状・行動計画を踏まえた会話例

大人:将来は何になりたいの?
子ども:野球選手!
大人:どこでプレーする野球選手になれたらいいかな?
子ども:楽天!
大人:楽天なんだ!憧れの選手はいる?
子ども:マー君!俺も、いっぱい勝てるピッチャーになりたい。
大人:いいね!勝ってヒーローインタビューで何言おうか?

・・・


大人:今はマー君みたいなピッチャーになるためにどれぐらい練習しているの?
子ども:(少年野球の)チームの練習を毎日1時間やってるよ。
大人:他には?
子ども:それぐらいかな。
大人:今の練習でマー君みたいなピッチャーになれそう?
子ども:チームの練習終わった後も残って練習している友達がいるし、今のままだと練習が足りないかも。
大人:あと、どのぐらい出来たらいいかな?
子ども:チームの練習が終わったと、30分ぐらい投げる練習しようかな!


もちろん、これで、必ずみんな本田選手やイチロー選手のようになれるという話ではないですが、子どもにとって、夢に向かって行動した経験はその後の人生の大きな糧になります。今までなんとなく夢を聞いて終わっていたという方がいたら、今日から子どもの夢を具体的に聞き、それを叶える行動の後押しをするなど、子どもの夢を叶えるコミュニケーションをとってみて下さい。

コーチングオフィス「みらいと」代表 山村沙莉

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