ひみつ基地

2014年3月号 vol.13

阪神淡路大震災が警告する今子ども達に迫る危機とは?-震災によって表面化した子どもをめぐる潜在的課題

2017年02月08日 17:49 by yusuke_imai


東日本大震災から3年。震災によって子どもたちの教育環境は一変しました。言うまでもなく、子どもの成長は、本人の生まれ持った能力以上に、その環境が大きく影響を及ぼします。子どもたちをめぐる教育環境は、この3年でどうなっているのか。被災地の子どもたちの「今」についてお伝えします。

◆ 毎日の生活だけで精いっぱい。前に進んでいる感覚がまるでない。

「あの日から3年が経とうとするけど、変わったことといえば周りの家庭との『差』を感じるようになったことですね。」

宮城県沿岸部の仮設住宅で暮らすあるお母さんがおっしゃった言葉が心に残りました。中学生・小学生の2人の男の子とご両親の4人で、仮設住宅で生活を始めてから約2年半。共働きで、お母さんも毎日遅くまでアルバイトをしながら生活を支えようとしていますが、前に進んでいる感覚がまるでないといいます。

「いつ、この仮設住宅を出るのか?」

「進学を希望するお兄さんの進学の道をどのように作ればよいのか?」

毎日の生活だけで精いっぱい。考える暇もなく時間が過ぎ、震災から3年が経とうとしていました。

一方で、再開した仕事が軌道に乗り始め、確実に前に進んでいく感覚を持つ同級生もいる。そんな中、「取り残された感覚」を募らせ、焦りすら感じはじめているといいます。

「みんなが大変だった」震災直後とは明らかに違った状況が、そこにはあります。

◆ 生活再建の二極化の要因は、一体何なのか?
 
私たちChance for Childrenが東北でサポートさせていただいている被災されたご家庭と接していても、この数年で「前に進んだ」という感覚を持つようになった方々がいる一方で、前述のように「取り残された」感覚をお持ちのご家庭も多くいらっしゃいます。

この差は、いったいどこで生まれているのか?その原因を突き止めるべく、私はこの数か月間、支援を受けられているご家庭の収入や所得の状況について、これまでにとったアンケート結果との相関を独自に調査しました。

そこで、一つ明らかになったのは、「震災前の収入が低かったご家庭のほうが、2011年~2012年に収入が低下している家庭が多い」ということです。
 

この調査については、サンプルが43件と非常に少ないため、慎重に取り扱う必要があり、あくまでも「傾向がある」とまでしか言えません。ただ、現場の感覚とは、そうズレていないと思います。

つまり、生活再建が進んでいるかどうかは、「直接的な被災の度合い」だけでなく、「震災前からの生活状況」が大きく左右しているのではないか?ということが考えられます。

◆ 果たして震災だけの問題なのか?

現地のスタッフは、「昨年からチャンス・フォー・チルドレンの教育クーポンの応募してこられる被災家庭では、明らかに『母子家庭』からの応募が増えた」と話します。

例えば、ある宮城県沿岸部の中学2年生の男の子は母子家庭で育ち、震災の被害を受けました。震災で住家は流され、仮設住宅で生活しています。お母さんは朝の「2時」に家を出て、弁当配達の仕事をしながら、どうにか生計を立てています。働いても、働いても一向に生活は楽にならない。子どもに勉強できる環境を与えたいと思っていても、ままならない。仮設を出れる見通しも立たない。今でも彼の家には集中して学習する勉強机すら、ありません。お母さんは次のように話しました。
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