ひみつ基地

2014年2月号 vol.12

子どもの自然体験活動コーディネーターという仕事-子どもと自然と地域をつないで新しい学びを生み出す!

2017年02月08日 17:54 by uedanna



◆お互いになくてはならない「パートナーとしての馬」という視点

まずは、馬。

「おおーい、離れろよー」と大きな声が森の中に響き渡ります。子どもたちは、固唾を飲んでその方向を凝視します。

すると、バリバリッバキバキッ・・・とけたたましい音と共に、大きな馬が森の中から出てきた!

そう、この馬は、森の中で傾いたまま枯れてしまった大きな木を引っ張り出してくれているのです。

馬の後ろで手綱をさばくのは、木こりさん。まるで呪文のような言葉を馬に発しています。馬はその指示に忠実に従い、人間だけでは絶対に引っ張り出せないような丸太を、いとも簡単に引きずり出します。見た目は普通のオジサンなんだけど、馬とチェーンソーを操る姿は、なんだかカッコよく見えるんだよなあ。

そして、作業が終わったあとは、引き出した木を薪にしてお昼ご飯を作り、馬にえさと水をやり、ブラッシングをして「ありがとね」と声をかけます。もちろん、子どもも大人も木こりさんも一緒。とにかく、その迫力とわかりやすさ。馬が木を引っ張り出すだけなのですが、小さな幼稚園児も、幼稚園の先生も、一緒に来たお母さんも、「馬という生き物のすごさ」「森の手入れの必要性」「馬を扱う人の技術」「人と自然とのつながり」といった小難しいことを一瞬にして理解することができます。

単なる愛玩動物ではなく、お互いになくてはならない「パートナーとしての馬」という視点。あるいは、馬のおかげで森の手入れが進むという視点。木こりの技術のおかげで、温かいお昼ご飯が食べられるという感謝。分厚い本なんか読まなくても、子どもたちは真実を体に刻み込むことができます。


◆そのまちの、その森のすべてを食べてることになるんだ

次は、シカ。

ポケットやリュックから繰り出されるのは、スコープ、ロープ、S字フック、シカ笛と呼ばれる、何やら怪しげな音がする笛。そして銃弾、薬莢、ナイフ。かっこいいエンブレムが施された、オレンジ色のジャケット。さすがに猟銃はダメだったけど、次から次へと見たこともない道具が出てきます。

子どもたちは、もうその段階で釘付け(特に男子ね)。

そしてそのオジサンが「猟師」であることを知った時の子ども達の目の輝きといったら。しかも、猟師さんと一緒に普段シカ撃ちをしているフィールドを案内してくれるんだって。もう身もココロも奪われてしまいます。

足跡や食痕を面白おかしく案内してくれながらも、時折、林の向こうで何かの気配を感じた瞬間「キッ」とその方角を見据える眼力。

そこに漂う、僕たちなんかよりも全然深いところで自然と対峙しているからこそにじみ出るオーラ。

言葉なんかなくても、子どもたちはそのオーラに圧倒されます。その日の晩は、もちろんシカ肉。猟師さんがさばいてくれたものを、地元のお母さんが「シカってさあ、毎日うちの畑を荒らすから、ほんっとに憎いんだよね」とか言いながら作ってくれるエゾシカシチューとエゾシカハンバーガー。いやもう、この文を書いているだけで、ヨダレが出てきます。マジでうまい。食堂は、さっきまであんなにうるさかったのに、一瞬シーンとなります。子ども達のおしゃべりを奪うほどうまいんです。その瞬間を見計らって・・・「エゾシカを食べるってことは、そのまちの、その森のすべてを食べてることになるんだ。この味は、この森の味なのさ。それが今、君たちの体に染み込んでいるんだ」と、猟師さん。カッコよすぎる。
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