ひみつ基地

2014年7月号 vol.17

受験戦争のないカナダの公教育とは?-個性・才能を伸ばし、不登校者も軽減!競争よりも共存を教える教育

2017年10月20日 15:28 by miwa_csuka

現代日本社会が抱えている課題はたくさんあります。不登校、引きこもり、発達障害、インクルージョン、就職困難、ニート、英語教育、メデイアリテラシー、グローバル人材育成などいずれも将来的に日本社会をより発展させていくために問題解決し前進していく必要のある課題です 。カナダにももちろん社会問題もありますし、様々な取り組みが行われています。そういった取り組みをご紹介することで、今後の日本に役立つ情報をカナダからお伝えしたいと思います。

(写真提供:カナダBC州サレー市教育委員会)

子どもの個性を育てるカナダの公教育

カナダは、世界的にも住みやすい国として有名です。毎年、世界中から多くの方々が移民や避難民としてカナダに移り住んできます。カナダはモザイク文化といわれ、世界の文化の違いを尊重しながら、共存していきましょうという理念があります。産業としてもカナダは石油、天然資源、技術、観光、木材関係等さまざまな分野で、世界の諸外国と取引しています。そういった国際社会にも通用する人材育成に成功しているのがカナダの公立の教育システムです。

カナダではどの大学へ行ったかよりも、人間性を伸ばすこと、才能を伸ばすこと、自分を活かした仕事について自立することが一番大事だとされています。ほとんどの学生が自宅から近くの幼稚園、小学校、中学校、高校に通学し、そのまま社会に出る人の数も多いです。またカレッジ、大学、キャリア教育も地域社会に必要な人材を育成するという理念のもと、地域産業と連携を組んでとても質の高いプログラムを多数開講しています。浪人という概念はないですし、受験戦争でつぶれてしまう学生や、名門大学へ進学するために好きでもない教科を勉強するということはありません。

(写真提供:カナダBC州サレー市教育委員会)

「学校=社会へ送り出す準備機関」の徹底

カナダの教育システムの優れているところは、人々を社会に送り出す準備機関としての役割がしっかりしているところです。

小学校では五感をたくさんつかった体験学習、野外教育が多く取り入れられ成長に大事な脳や神経回路、体作りを積極的に行います。 お昼休みには、雨天関係なく教室を締め切り、外で遊ばせ体力作りを行います。同時に上の学年が下の学年の理科の実験を手伝ったりして協調性、リーダーシッ プスキルといった人間力も同時に育成していきます。

中学校は、自尊心を伸ばすところとして、たくさん褒められて、学ぶことに対しての意欲を育て、グループでの課題をより多く行います。

高校は社会に出る前の準備機関として、基礎学力、数学、英語、理科、社会、体育、キャリアプラン(将来設計)といった必須教科の他に、さまざまな選 択教科があります。映画製作、デジタルアート、会社経営(学校の売店の運営)、経理、電気、木工、ロボットをつくる機械工学、調理(学校の食堂の運営)、 幼児教育、自動車整備、など日本の専門学校や工科大学で学ぶような内容も選択教科にあり、必要な資格も同時に取得することが出来ます。

もちろん、優秀な学生を徹底的に育てるのもカナダの教育システムですので、どこの教育委員会にもIBやAPという特進のコースもありカナダ国内、世界中の有名大学に進学します。 通常各学校に2−3人進路相談員がいて学生の才能や希望にあわせて、コースをアレンジします。

カナダの州立大学は大学間で連携がとれていて、単位を別の大学に持って行くことができます。一例としてカナダBC州ではBCCATというシステムがあります。専攻も大学に入ってから変更できるので、自分の将来設計、興味や才能にあわせて学習することが出来ますので大変合理的です。

(ウエストコーストインターナショナルでのカナダ式野外教育イベントの様子)  

共存することの大切さを胸に巣立っていく学生

以前は、カナダも偏差値教育になりつつあった時があるそうです。その際、学校に行きたがらない学生が急増し、その時の教育者、政治家、父兄が協力し て全員に成功してもらう教育、誰でも一つでも好きな教科を勉強できる教育作りを目指したそうです。競争ではなく、共存を目指し、豊富な選択科目を設けるこ とで、不登校者数を減らすことができました。現在の教育システムは1980年代の教育者、父兄、政治家の努力の賜物だと思います。

毎年カナダの高校の卒業式に出席しますが、同じ高校から有名大学へ行く学生もいれば、高校在籍中に美容師や調理師の免許をとる学生、電気屋さんにな る学生、障害があって自分にあった資格や教育を受けた学生、世界旅行に行く学生、カレッジに行く学生など、本当に色々な学生が一緒に卒業します。その空間 自体がすでにコミュ二テイであり、そこにいる学生達は社会には色々な人がいて、みんなで共存していく大切さを肌で感じながら巣立って行きます 。共存を大事にする教育は、国際社会に出ても色々な場面で柔軟に協調性をもって取り組むことができる人材育成に役立つと思います。

ウエストコースト・インターナショナル・エデュケーション・コンサルティング 代表 美和チュッカ

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