Eduwell Journal

2015年1月号 vol.23

英語力ゼロでも英語を習得できるカナダの教育制度とは?-グローバル人材の育成に成功した多民族共生国家

2020年09月07日 22:53 by Miwa_Hosogoe

昨今、日本でも英語力の重要性、並びに日本で生活されている留学生や外国人へのサポートの重要性が取り上げられています。

多くの大手企業も公用語を英語にしたり、小学校でも英語教育の導入がはじまりました。さらに、文部科学省もグローバル人材育成のため、国際バカロレア(IB)を推進したり、多くの教育委員会も諸外国の学校との提携にも力を入れるようになりました。高校や中学校で留学する学生に奨学金を出す都道府県も増えてきています。

英語が使えたら地球上の80%の国で生活出来ると言われています。日本もこれから国際社会で活躍できるグローバル人材を育成していくためにも英語力、国際人力を伸ばしていく必要が出てきました。

カナダはもともとが移民の国ですので、国としての歴史は浅いのですが、英語教育、グローバル人材育成、移民受け入れの観点からみると大変に進んでいます。そうしないと国として社会が成り立たないからです。

カナダは多民族国家であり、資源国家ですので、世界を舞台に仕事をするのがあたり前の社会です。そんなカナダの取り組みから日本社会が学ぶこともたくさんあると思います。

世界から留学生を受け入れるカナダの英語教育

日本の大学受験に他言語も取り入れられて海外留学生の数が増えてきました。カナダではカナダ人の学生にとっても世界から留学生を受け入れることは大変意義があるということで、国をあげて留学生の受け入れを推奨しています。

カナダの英語は、多民族文化の影響もあって、強いアクセントもなくとても聞きやすい英語です。どこの国の人達にも使いやすい英語になっています。

英語教育も、どの学校にも英語を母国語としない学生用の英語クラスが別に設けられていて、語学学校に通学しないでも教育委員会のプログラムの中で英語を習得することが出来ます。

カリキュラムもきちんと決められていて、数学、社会、理科といった実際に勉強する教科の単語や基礎知識も踏まえて作られているため一般プログラムへの移行がしやすい形になっています。

クラスのスタイルも体験学習やグループでの討論やプロジェクト、課題発表などがふんだんに取り入れられ、英語をただ読んで暗記するだけでなく、実際に聞いて、話して、読んで、書いて、応用しながら五感を使って学んでいきます。たくさん復習する要素がありますので英語力も飛躍的に伸ばすことが出来ます。

豊富な教材には、異文化理解、共存社会の大切さを教える本もたくさんあり、情操教育、人間教育にもとても力を入れています。カナダは社会福祉国家ですので、共存を大事にします。

そういった国際文化、共生という教えは小さい頃から学んでいきます。使う絵本に多くの国籍、人種、車いすの登場人物が出てきたりしてお互いを理解する大切さを子ども目線で分かり易く教えます。

成人の移民が無料で楽しく英語を学べるプログラム

今後、日本も移民を受け入れる可能性があると聞きます。カナダは移民の国、つまり避難民や発展途上国からいらっしゃる方々の中には義務教育を受けてない方も多く、カナダではそういった方々に対して地域で自立していけるようにサポートする制度がとても整っています。

その中核を担っているのは地域の教育委員会と州立大学です。教育委員会にも、大学にも進路相談員もいますし、就労支援のオフィスもあります。カナダでは各教育委員会に成人用の生涯教育部門があり、義務教育を受けてない大人でも基礎的な学習を受けることが出来ます。英語プログラムはもちろんですし、カレッジでも高校の卒業資格等を取得することも出来ます。

成人の移民の方には、ELSAという無料で受講できる英語のプログラムがあります。このプログラムは言語学者がしっかりとつくったカリキュラムでとても素晴らしい内容となっています。留学生も安価にこういったプログラムも受講できるコースがあります。

実際に受講した学生さんの意見では、そういったプログラムを受けている方々はとにかく学ぶことを楽しまれていて、My bright futureという言葉をよく口にして自分の意見や発言をしていたそうです。

カナダに移民するまでの皆様の苦悩や社会的な環境、戦争も経験されたりと平和に勉強することが喜びなんだなとも思います。多くの州立大学、教育委員会で開講されています。



グローバル人材の育成に成功している教育制度・社会システム

カナダは経済的にも世界で有数の資源国家です。石油埋蔵量は世界3位ですし、他にも天然ガス、水力発電、水の貿易、観光やサービス産業の分野で世界中とビジネスをしています。G8の中でも一番経済的に安定していると言われています。

世界の人が集まって生活している国ですので、どの国とも良好な関係を保ちつつビジネスをすることが出来るグローバル人材の宝庫となっています。

英語力、そして異文化理解をとても重要視しているカナダの教育制度、社会システムがこのグローバル人材の育成の成功につながっていると考えます。

日本もこれからグローバル化に向けて教育も社会制度も改革されていくと思いますが、カナダのシステムは一つの成功事例として参考になると考えます。

日本も自国の歴史や社会、伝統は継承しつつ、世界を舞台に活躍する人材が増えることを願っています。

Author:細越美和
Westcoast International Education Consulting in Canada Ltd. 代表。2004年にカナダ・バンクーバーにカナダ留学を支援するウエストコーストインターナショナルを設立。質の高い英語教育、多文化理解、才能教育に力を入れ、これまでに4,000人以上の留学生をサポート。15年間に渡り、発達障害や視覚障害を持つ留学生もカナダのインクルーシブな教育環境で支援経験あり。
さらに、カナダの教育システムの研究・広報活動として、カナダ州立教育機関の正式な日本窓口としてカナダと日本の教育機関の提携業務や日本の教育者向けのカナダ教育機関見学ツアー、カナダ大使館フェアでの州立教育機関のサポート等を行っている。

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