ひみつ基地

2015年3月号 vol.25

不登校経験者の社会的自立を支える通信制高校の仕組みとは?-通信制高校生徒・保護者アンケート調査結果報告②

2019年06月04日 22:39 by editorial_desk

2014年12月4日、アルカディア市ヶ谷にて「学校再創生~教育制度の柔軟化の推進」 (新しい学校の会・第9回シンポジウム)が開催されました。新しい学校の会は、構造改革特区の制度を利用し、学校経営を行う株式会社(=学校設置会社)が 集う連盟です。本シンポジウムでは、通信制高校の生徒および保護者3,600人から集めたアンケート調査結果発表、通信制高校生徒・保護者の体験談発表、 そして有識者によるパネルディスカッションが行われました。本記事では、本シンポジウムで公表された通信制高校の生徒および保護者3,600人から集めた アンケート調査結果について事務局よりレポートいただきました。(生徒の過半数が不登校経験者の通信制高校の仕組みとは?-通信制高校生徒・保護者アンケート調査結果報告①

「通信制高校を選んだ理由」から見える不登校の生徒・保護者が求めるもの

前回の記事では、通信制高校が不登校経験者に選ばれやすい学校であること、通信制高校の柔軟な学習スタイルは生徒の都合に合わせやすい仕組みであることなどをお伝えしました。今回は前回お伝えしきれなかった特色について、アンケート結果と合わせお伝えします。

生徒や保護者が通信制高校を選ぶ際、「登校スタイルが合っている」ことが重要視されているという結果が出ましたが、ほかにも見られているポイントがあります。



保護者の24.3%、生徒の21.8%が挙げている理由に、「無理に集団参加しなくてよさそうだから」の一文があります。この集団生活を無理にしたくない、させたくないという動機を掘り下げてゆくと、「前校でいじめにあい、友人をつくるのに苦手意識がある」「発達障がいの傾向があり、集団から浮いてしまう」「集団生活の雰囲気がどうしても苦手」「集団で授業を受けるとついていけない」・・・など、それぞれの理由があります。

卒業後、社会で自立するために集団生活には少しずつ慣れたい

通信制高校の多くは、通学日数に関係なく少人数制指導を行っています。1回の授業で同時に学ぶ人数は多くても15~20名程度、もっと少ない場合もあります。学びリンクで出版している通信制高校やサポート校のガイドブックでは、実際に通信制高校に在学している生徒や卒業生に協力してもらい、学校生活を具体的にご紹介するインタビュー取材を行っています。その際、少人数指導について感想を聞くと

・質問しやすく、理解しやすい
・アットホームな雰囲気で、打ち解けやすい

という2点を挙げる生徒がほとんどです。全日制高校では参加が前提となることが多い校外学習などのイベント・行事が、生徒が参加するかしないかを自己決定できる学校が多い点も、安心できるのかもしれません。

集団生活に一度つまずいてしまった場合(もしくはそれまで集団生活に良い思い出がなかった場合)、少しずつ無理のないペースで、他者への苦手意識を取り除く必要があります。「学校に上手く溶け込めた」「自分は思っていたよりも、集団生活が苦手じゃない」という経験ができれば、卒業後社会に出て行く際に自信へとつながります。

その点、通信制高校やサポート校の小さな集団は、少しずつコミュニケーション能力を身につけ、社会に出て行く練習をする場として適しています。困ったときは先生の助けを借りながら、ぜひ、楽しい思い出をたくさん作ってください。

通信制高校ならではのこんな取り組みも

集団生活や対人関係に苦手意識を持っている生徒のためのサポートは、少人数指導以外にも各校それぞれが設けています。例えば、

「生徒が気の合う先生を自分の担任に指名できる」
「最初は大人しい生徒とやんちゃな生徒をある程度分けてクラス編成をする」
「先生がカウンセラーの資格を持っている」などなど。

引きこもり状態の生徒には、「自宅に先生が訪問してくれて、関係性を作った後に通学へと導いてくれる」といった支援もあります。また、興味がある分野を選び、専門的な学習ができるコースで学ぶのも、通学を楽しく友だちをできやすくする手段です。通信制高校やサポート校には芸能・スポーツ・芸術など、興味ある分野について学べるコースがあります。例えばイラストを描くのが好きな生徒は、「マンガやイラストを学べるコース」がある通信制高校で、高校の勉強をしながら専門的なレッスンを受けます。一緒に学ぶのは、同じくイラストやマンガが好きな生徒なので、共通の話題が見つけやすく、関係性が築きやすいメリットがあります。 

右肩上がりの通信制高校数入学者の選択肢も増え続ける

 

難しいのは、「少人数指導」「ていねいなサポートをしてくれる」「自宅から通える範囲である」等の条件を複数挙げても、当てはまる学校は意外にたくさんあるという点です。都心部や主要な駅を通学範囲に入れている場合は、選択肢が多すぎて困ってしまう人もいるでしょう。

上の図をご覧いただくとわかりますが、通信制高校の数、特に私立校は10年以上前からゆるやかに増加しています。一方、通信制高校全体の生徒数はというと、ここ10年ほどは18万人でほぼ横ばいの状態です。実際にはサポート校(通信制高校と提携し、高卒資格が確実に取得できるよう支えてくれる機関)も独自に学習スタイルやサポート体制を提示しているので、「どれがいいのかわからない・・・」というお悩みの声も耳にします。

しかし、選ぶのは大変ということは、選択肢が増えたということ。学校側もそれぞれ先生の研修を充実させたり、わくわくするような体験授業を取り入れたり、大学受験で実績を出す学校もあります。絶対に必要だと思う条件を満たしている学校が複数あるときは、説明会などの際に先生に「うちの子はこういうことが苦手なのですが、こうした場合にはどのようなフォローをしていただけますか」など、ぜひ、率直に聞いてみてください。複数の学校が集まる合同相談会や、通信制高校のガイドブックでまとめて比較・検討してみるのもオススメです。 

>>前編を読む 

学びリンク株式会社新しい学校の会(新学会)



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